2012年9月25日火曜日

「伊豆半島ジオパーク」誕生



2012年9月25日
伊豆半島赤沢
曇り
気温21.0度
北北東の風8m
水温27.2度
透視度10~30m

小さな水中ガイド屋だけど、色んな方が来てくださる。本当にありがたい事だ。
何を気に入って来て下さるのかは、自分ではよくわからないけど、伊豆の海の面白さが伝わっているようで、嬉しいな。



お客様の記念にと、水中で写真を撮ったりするのだけど、カメラを構えたのに気付くと、みなさんピースサインをしてしまうので、あまり構えずにサクッと撮ってしまうようにしてる。
自然の表情がいいかなぁ、と思って。
最初の写真は画面も見ずに撮った一枚。なんかカタログの写真みたいでしょ。
あまりにも偶然に良く撮れたので、思わずブログのトップにしてしまうという自己満足。はい。




少し成長して妖艶になったサザナミヤッコや、あまりにも透明で見つけたのにも驚くほどのオビテンスモドキの幼魚などなど、興味の尽きない秋の海なんだけど、ぼちぼちと台風が迫って来てる。
明日の取材のお客様がギリかな…と
台風がよっぽど接近するようだと、「珍しいのがいたよ」なんて言っても、跡形もなくどこかへ消えてしまう。
だから今日はあまり紹介しておかない…



珍しい的な生物でなくたって、いつもの生物の面白いワンシーンというのはいくらでもある。
魚の掃除をしてくれる透明なエビは、キタマクラというフグにはあまり積極的に掃除しなかったのに、オニカサゴが来た途端に営業モードに走った。
「ようこそいらっしゃいましたぁ~っ!」という声が聞こえてきそうな変貌ぶりだ。
オニカサゴの方は、なんだか身悶えしている。
このエビに手を掃除してもらったことがあるけど、とてもソフトな掃除が持ち味。痛くて身悶えしているわけではないだろう。
くすぐったいのかな?魚にくすぐったい。ってあるのかな?





さて、昨日9月24日。伊豆半島が日本ジオパークに正式認定された。ようやく、だ。
ジオパークというのは、地質的に面白い地域が、それを目玉にして教育や観光などを促進させているという認定だ。
伊豆半島は、遥か彼方の南の海の海底火山が2000万年以上の時間をかけて島になり、やがて本州に衝突して半島になったという特殊な場所。
火山や溶岩の後は無数あるし、現在でも噴火をする。



数千年、数万年前に流れ出た溶岩は、海の中にも達している。
実の所、いつも潜っているダイビングポイントは、ほぼそうだ。
大小さまざまに起伏のある海底地形は、様々な形で伊豆の海を豊かにしている。
ダイバーは、それを目の前に出来るのだから、知らないまま通り過ぎてしまうのはちょっと勿体ない。



上の写真と動画は、赤沢の港の対岸にある赤窪火山の溶岩流の跡。伊豆半島ジオパークでは、「赤窪ジオサイト」と呼ばれている場所だ。
陸上の風景と違い、海の中の景色は思いのほかワイルドだ。
急角度で切り立った根がいくつかあり、通路のようなクレパスがあったり、ちょっと探検気分が味わえる。
いや、あまりにも複雑すぎて、下見のガイド達も、まだいまいち把握しきれていないくらい。
現在探検進行中である。

港側の黒い砂と違い、白い貝殻質の砂地が特徴。
飛んでる気分が味わえる。
魚の群れも多いしねぇ。
秋の透視度のいいシーズンのうちに、このジオサイトの水中に皆さんをご案内できたらいいな。





2012年9月20日木曜日

smile


2012年9月20日
伊豆半島川奈
晴れ
気温30.6度
西南西の風3m
水温24.9度(水深15m)
27.0度(表層)
透視度8~12m


今年の海の中は、まぁそれはそれは興味深い。
あれやこれやと色々な生物が見られるので盛りだくさん。同じ所で潜っていても、どこかへ出かけた様な気になって来る。
もはや、「例年」という言葉は存在しない。

赤沢の港内にはヘコアユ。
うーむ、ヘコアユ。んなもん見た事ない。

まるで枯れたススキの切れっぱしだ。言われなければとても魚には見えない。
いや、横になって泳いでいれば魚だとわかるのだろうけど、常識を覆す必殺縦泳ぎである。
この必殺技は意外と通用する。
と、わかっていて縦泳ぎをしているんだったら凄いな。
正解だよ、君は。



ひと月前から証拠を押さえたかったのはこの魚。ルリヤッコの幼魚だ。
うーむ、ルリヤッコ。んなもん見た事ない。

少し前に富戸でも見かけたのだけど、一瞬で隠れてしまった。
赤沢のこいつも相当なビビリさんで、岩の奥に隠れたら、そりゃもう出てこない。
こりゃー手ごわいぞ! と思ってたら先日は意外とすんなり撮れたりして…
まぁでも、安定して紹介するにはかなり厳しいお魚さんである。


16日は大潮だったのだけど、オオアカヒトデの放精シーンに出会えた。
個人的にはヘコアユやルリヤッコより、数倍は興奮する出来事だ。
60センチはあろうかという大きなヒトデなので、放精も迫力がある。というかわかりやすい。
近くでもう1個体、これほどニューっと出ているのではなく、ポツポツと絞り出すように白い物を出していたオオアカヒトデもいたのだけど、そちらは放卵だったのだろうか?
はぁ、勉強不足だわ…




台風15号の影響で南からのウネリが強くなり、南向きの赤沢や八幡野は荒れ気味になってきた。でも富戸や川奈は静か。


あっさりといるウミテング、しかもペア。
うーん、川奈だねぇ…


17日も大潮で、棘皮動物のクロナマコさんが一斉放精。
ガッツリと動画を撮りたかったのだけど、午後3時の最終エキジット2分前だったのであきらめ…。残念極まりなし。



ここのところ、川奈のガイド仲間からは、「フレンドリーなカメいますよ~、来ないんですかぁ」と、よく聞いていて、「ほんとー?」と、半ば疑っていたのだけど、ホントに見事にアオウミガメに遭遇した。

しかも、噂通りまったく逃げる気配なし。
見えてないんじゃないだろうか?と思うくらいに人間のことなどお構いなしに、爆睡してたり、海藻をバリバリと喰っていたり…
それじゃぁ、ということで、余裕の記念撮影である。
しかも、手前の女性はOW講習中。結構距離があるところだったんだけど、なかなか余裕あるね、たいしたもんだ。



そんだけ余裕があればOWダイバー合格だ。
新しいダイバーの誕生を祝って、先輩ダイバー8人でオメデトウの記念撮影。

彼女は新しい楽しさを見つけてくれただろうか?
見つけただろうなぁ。前の日より、ずっといい笑顔になってるもん。
やっぱりダイビングで一番見たいのは…。こういう笑顔、だね。
いろんな事が気持ちのいい秋の連休だったな。



2012年9月6日木曜日

4人のハンター

2012年 9月5日
伊豆半島赤沢
曇り時々晴れ
気温29.4度
東北東の風2m
水温27.8度(表層)
透視度8~12m(表層)



3日から3日間。大学のダイビングサークルのライセンス合宿だった。
まぁ、講習中のスナップにこのポーズで答えるのだから、スキルとしては余裕だった訳で、スムースに3日間は過ぎて行き、また新しくダイバーが誕生した。



ここのところムレハタタテダイの群れが徐々に増えつつあるので、講習ファイナルの記念にムレハタタテダイに祝ってもらう事にした。
撮った写真からざっと数えて50匹くらいだろうか、半月で20匹位は増えたようだ。
ムレハタタテダイは秋に向かって増える傾向がある。多い時はワゴン車一台分くらい、数百という群れになることもあるので期待してしまう。
ぐっと群れているムレハタタテダイのすぐ横で、まだ幼さのあるムレハタタテダイ数匹が、混ざらずにひっそりとっしていた。大きくなったら集合するんだろうか?



港から外に出ると、色々な群れが現れてくる。
ぐっと固まるような群れは、それこそ別の生物のような動きをして面白い。
「あー、こういうの撮りたいなー!」って思うのだけど、なかなか群れのコントロールと言うのは難しい。


あんまり多くても人が見えないし…
これは、「む、顔に魚がかぶった」



青い海をバックに群れと戯れるのも気持ちいけど、小さな生物も豊富な、絶好調2012の秋伊豆。
赤沢では定番のウシノシタ系の幼魚が今年も現れた。
1.5センチほどだろうか、下の砂が透けて見える、まだ透明な幼魚だ。
去年はまわりに親らしきムスメウシノシタが沢山いたのだけど、今年は見かけない。
無関係だったのかな?


なんだか綺麗な見かけない魚がいるなと思ったら、どうもウメイロモドキの幼魚らしい。
普段の伊豆では見かけない南国の生き物がほんと目に入る。
もはや何が起こっても不思議ではない。


で、こいつ。
あまりにもビビリなこの魚は、2回出会ってこのブレブレ写真がやっとだった。
うーむ。こいつは、あれなのか…?

明日また再チャレンジ。
今年の海は伊豆ダイバーにとって、まるでハンティングのようだ。
南の海から獲物がどんどんやってくる(笑)


でも、こういうのをじっと見ているのも好き。



毎日のように見る魚の、ここぞという旬に出会えると言うのは大きな感動だ。
でもこれ講習中だった。
講習ファイナルとはいえ、6本目のダイバーには「??」だったかなぁ。
一応説明はしたんだけど・・・

「ゴミという認識は人間だけのものだったのか。」と考えたのなら、君は100点でダイバー合格だ。




2012年9月2日日曜日

将軍様に謁見


2012年9月2日
伊豆半島富戸
曇り時々晴れ
気温27.4度
北北東の風6m
水温27.8度(表層)
透視度10~15m(表層)

快適な水温と透視度が続いてる。
水深20mほどを超えると、冷たくって綺麗な水があるのだけど、表層の水温と随分差があるのでなかなか行ってない。
冷たい、と言っても20度以上あるのだけど、なにぶん表層が暖かいので、恐ろしく冷たく感じてしまう。

今日は北東の風がやや強く吹いていたので、岸近くの水面にはゴミが流れ着いて溜まっていた。
自然のゴミや人間のゴミに混ざって、何か生物が付いてきていないかと見てみると、いるはいるは。。。
最初の写真はマツダイ。
まるで枯葉のようで、うまいこと流れ藻に混ざっている。
ソウシハギも5センチ程度から20センチ程度まで沢山みかけたし、テンジクイサキの子供だろうか?なにやら見知らぬ生物だらけだった。
面白すぎる。
個人的に潜ったら、ずっと水深1mのゴミの下で潜ってただろうな…

 
ミヤコキセンスズメダイ。綺麗でしょー!
場所によっては5匹位かたまっていたりするので、今日も是非お見せしようと思ったのだけど、風波があったのでうまいこといかなかった。
なんせこの方達、浅い所がすきなようで、水深で言うと50センチ程度の所にいらっしゃるんですわ。
また今度、凪の時に。

 

ちょっと地味だけど、この方も南国のお魚。ハクセンスズメダイ。
前から見ると笑ってるように見える。って、どこかのサイトに書いてあったので撮ってみたら。
ほんとだ、笑ってる。
自分の笑顔に自信があるようで、写真を撮ると結構な確率で正面顔だったりする。

PHOTO/ATARSHI


水面のゴミに沢山いたソウシハギ。
こちらはまったりと水底でホンソメワケベラのエステを受けているところ。
もう目がうつろ。
どんな魚でも、ホンソメワケベラがエステシャンだっていうのは知っているようだ。
看板も無しで繁盛する人気店である。



こちらはモクズショイ。というカニ。
カイメンやら海藻やらを体にくっつけて、まわりと同化して擬態するというカニだ。
特に珍しいカニというわけではないのだけど、こいつは何だか色合いのバランスをちゃんと組み立てているような気がしてならない。
もちろん、海の中に鏡はないので、自分の姿は見たことないはずだけど。

 

ザリガニのようなスタイルに、緑色に輝く剛毛。
ちょっと前から気になっていて、こいつは一体誰なんだろうと思ってたエビ。
ようやく写真に撮って調べてみても解らず、しばらく「謎のエビ」状態が続いていたのだけど、あるとき奥さんが、「図鑑に載ってるよ、これでしょ」っと言う。
実は僕が一生懸命図鑑で調べていたのは「エビ類」のカテゴリーで、このエビはアナジャコ類なのであった。
「マジで、アナジャコ類見ないよぉ・・・」(撃沈)
こいつは、「ショウグンエビ」というカニで、図鑑によれば、生息域は「琉球列島以南」、とある。
んー。富戸は静岡県なんですけど…

そんな事より、「ショウグン」という名前を気に入ってしまった。
「将軍」でしょ?最強じゃぁないですか。

みなさんにも将軍様にお会いして頂きたくて、昨日今日と訪ねてみたのだけど、あいにくご不在でいらしゃった。
きっと庶民の生活でも見に、変装して街に繰り出してるんでしょう。

そのうちお戻りになる、かなぁ…