2012年11月19日月曜日

発見の練習


今日は雪が降った。
想像以上に風は冷たく、手袋をせずに歩いていると痺れてくるくらいだ。
あ、もちろん伊豆の話じゃない。
いつも読んでいただいている方は、「また行ってるのか」と思われるかもしれないが、海洋調査で北国の海、吉幾三の世界である。
 今日は日曜日なので調査はお休みのOFF。
時折雪がちらついたものの、基本天気がいいので宿のすぐ目の前の海岸を散歩してみた。
やっぱりこの海岸はきもちいい!



何キロも続く砂浜に人間は僕一人だけ。
 波打ち際はカモメが無数に休んでる。赤い足のセグロカモメが多いけど、黄色い足のウミネコも結構いるな。カモメ科は混ざることを気にしないみたいだ。
ゆっくり、意識して特にゆっくりと歩いてみると、全部サラサラの砂のように見える浜に色々なものが見えてくる。流れ着いている貝殻は伊豆では見ないものばかりだ。ホタテガイが多いかな。
伊豆の海岸じゃホタテガイは打ちあがらない。
風が強かったので砂が走るように流れてた。足元の灰色の砂が白くなったり黒になったり、まるでコマ送りのアニメーションを見ているようで面白かった。
指で軽く砂を撫でてみると、黒板に書いたようにそこだけ白い砂が出てくる。砂の重さで風の運ばれ方が違うのだろうか?繊細な地層というのはこうやって出来あがってゆくんだろうな。



意外と丸い小石もあったりして、面白い形や色の石がないかと探してしまう。
ふと見ると、湿ったコンクリートのような石が顔を出してるので、蹴ってみると軽く崩れて散った。
手にとって見るとほんのり緑色をした砂の塊のような石だ。
穿孔貝の殻が生きてたときと同じように綺麗にはまっていたので海の中にあったものが打ち上げられたんだろう。緑色凝灰岩というとても古い時代の石じゃないかな?


ベストシーズンも後半に差し掛かったとはいえ、一番おいしい時期の秋の伊豆を離れるなんて・・・とは思うけど、海の色や地形、生物や植物、街並みや人の言葉。 普段住む伊豆とは何から何まで違ってるので興味は尽きない。
そしてしばらくして伊豆に戻ると、「あぁいつもの風景に戻った」と思うのではなく、「ここはこんな風に面白いところだったんだなぁ」 とあらためて気づくことができるから面白い。
ここには刺激を受けに来ているような気がする。
ものの見方、考え方のマッサージ、といったところか。

都会から伊豆に来るダイバーのみなさんも、潜って海に癒されるだけでなく、戻ってから家や職場の周りを見て、「へぇ、ここにもこんな自然があるじゃん」と思うような体験をして欲しいな。
珍しい生物をサッサと見てまわるんじゃなくて、なんでもいいから目の前のものをじっと見つめるの。
「へぇ、これ面白いな」と”自分で気づく”事ができれば、普段の都会の風景が違って見えるようになると思う。




最後の写真は「わさお君」。
ブサかわ犬として有名になった犬だ。
確かに、ブサかわ犬だった。いい呼び方をしたもんだ。

さて、戻ったら僕はどんな伊豆を見るかな?
我が家の白い犬は小さく見えるだろうなぁ(笑)