2011年12月9日金曜日

縦縞横縞

12月9日
赤沢
雨のち曇り
気温4.7度
北北東の風13m
水温19.5度
透視度15~20m

今日は寒かった。
朝10時ころに出かけたら、みぞれ交じりの雨が降り、富戸の海は大しけ中のシケシケ。
沖を見ても見事な白波だったので、赤沢もどうかしらと思ったのだけど、見事に穏やかだった。

富戸の港は北東に開いた海だから、南や西風にはめっぽう強く、赤沢はその逆で、南向きだから北寄りの強風が吹いても穏やか。
と人には言うものの、ここまで違うのかと思う事が度々ある。
今日はお手本のように違っていた。

今日のお客様は、100本近くを全部赤沢という、あえて赤沢一筋の方。難しい一面、季節の移り変わりを見てもらえるので嬉しい気がする。

青いのは、「ジガミグサ」という海藻の一種。
見る角度や光の当たり方によっては綺麗に青く光っているように見える海藻だ。
別に珍しいと言う訳ではなく、ごく普通に岩肌に生えてる。ジガミグサの他にも光ってるように見える海藻と言うのは結構あるので、岩肌に目を凝らして、ライトを当ててみるのも面白い。




あまり見かけない魚がいたので、じっくりと見てみた。
これはヨコスジイシモチという魚で、ある図鑑によると、「伊豆では秋に稀に見られる」と書いてある魚だ。
好んで棲むところが泥っぽい岩場と、少々変わった好みのようで、どうもそれが原因で稀になっているのかもしれない。泥場を好んで潜るダイバーは少ないしね。
赤沢はまったく泥の混ざらない、珍しいほどのサラサラの砂地だ。このヨコシマイシモチも、定住の地を求めて去ってゆく、んだろうな…

そう、魚の模様は泳いでいる状態で縦縞になっているのを、「横縞」と言い。横に筋があれば「縦縞」という約束がある。
潜ってきたダイバーが、「縦縞の魚がいたけど何だろう?」と言われても、その約束を知っている人なのか、それとも知らずに見た目で言っているのかを確かめないと、縦と横が逆になってしまって、まったく何の魚なのかは分からない。
この魚も、見た目では見事な縦縞2本なのだけど、名前の通り横縞なのである。

2011年12月8日木曜日

再生の芽


12月8日
赤沢
晴れのち雨
気温10.9度
北北東の風3m
水温19.4度
透視度15~20m

朝のうちはいいお天気だったのだけど、だんだんと曇り始め、お昼過ぎには雨が降ってきた。
風は北寄りなので赤沢は波もなく静か。港内にはギンイソイワシが大量に群れている。

カタクチイワシと違ってビュンビュンと活発に泳ぎまわる様子はなく、水面から水深2、3mほどにかけて雲の様に漂っている。もっと日差しがあったら、いい光景になるだろうな。

ギンイソイワシは、一見カタクチイワシの様なんだけど第1背ビレと第2背ビレ、ふたつの背ビレが有る奴だ。
 カタクチイワシには背ビレはひとつしかない。よーく目を凝らして見ると、どうにかこうにか第2背ビレが見えるのでカタクチイワシでじゃぁない、というところまではわかるのだけど、果たしてギンイソイワシなのかトウゴロウイワシなのか、それともムギイワシなのかは、正直分からない。

わからないのに、なんでギンイソイワシと言ったかというと、先日釣りをした時に釣りあげたので、少々高価な図鑑とにらめっこしてヒレの骨の数などを数えてみたからだ。それくらいしないと分からない、というか、それでもわからない種類もある。
 僕は魚の先生でもなんでもないけど、とりあえず赤沢の港内を埋め尽くす様に泳いでいる奴らはギンイソイワシと決めた。

ちなみに、ギンイソイワシは美味しくもなんともない…





足が取れてしまったショウジンガニがいたので、ゲストに、「自分で切り離すようにできてるんだよ」的な、カニの不思議を紹介しようと思った。
黒くなっている所が自分で切り離すことのできる自切点なのだけど、折れた3本中1本は赤いのが目に入った。

あれ?あれれ?もしやこれは…

そう、これが「再生芽」だ。


袋状になった薄膜の中に、折りたたまれた小さな足がわかるだろうか?

次に脱皮をすると、少し小さいながらも元の足が出来上がっているんだ。薄膜の袋は脱皮殻として残される。
これはトゲアシガニの脱皮殻。再生芽の薄膜が残されている。




このショウジンガニの再生芽。薄膜の様子を伝えつつ、透明感があって中の様子が見える感じがなんとも素晴らしい。
新たな足にすでに模様ができている様子や、折りたたまれ具合と爪の先が見えてとれる様子も最高だ。僕のダイバー生活史上べストオブ・再生芽だ。


これでゲストが喜んでくれるかどうかが一番の悩みどころだったのだけど、食いつく様に見てくれたので安心した。
今日のゲストは3年ぶり2回目のガイドとなる女性。ダイビング本数は25本。
「あんな風に足が生えるんですね、初めて見ました」って言ってたけど、そりゃそうだ、これはダイビング20年、10000本中のベストオブ再生芽なのだ。

きっと、暫くは見られない。
海の中には一期一会のルールがあるようで、人の思うようには、なかなかならない。

2011年12月5日月曜日

海岸旅



北緯41度の下北半島から夜の六本木に移動した。13年分のダイバーを集めたイベントをするためだ。


あいにくの嵐の六本木ナイトだったけど、嬉しいことに60人も集まってくれた。久しぶりに朝まで歌ったりしたのだけど、始発前、早朝の六本木の人の多さに驚いた。

朝6時前にラーメン屋が開店していることでさえ普通ではないのに、大勢の異国の人々や、異様に目がパッチリなお嬢さん方で超満員だった。


早朝の路地は、妙に静かで灰色な感じで、夜が続いていた店内から一気に現実に放りだされてしまったような気になるのだけど、六本木では夜の終わりをお祝いするパーティーみたいに人々が行き交っていた。

きっと毎日パーティーなんだろう。変わった街だ。


一夜明けたら、まるで初夏を思わせる様な好天で、快晴の銀座では上着を脱いでTシャツで歩いていた。

青森帰りの自分だけTシャツなのかと思って見まわすと、まわりの人もTシャツだったので少し安心する。


妻の弟が出店している有名デパートの催事場に行ったり、ランチをしたり、業務の打ち合わせをしたあと、暑い東京を後にして僕は青森に戻った。

東北新幹線に乗って約3時間半。七戸十和田駅に着くと、雪だった。



翌日も深々と朝から雪が降っていて、景色は一面の銀世界に変わっていた。これが今シーズンの初雪ということで、なんとも、暑かった東京からギャップのあることか…


雪が降ると楽しみなのが砂浜の光景だ。

長い砂浜が真っ白になって、とても綺麗なんだ。見渡す限り、自分以外の人はいない。

もの凄く寒いけど、ずっと見ていたくなる。




真っ白な世界から一転して、岩肌の海岸は房総半島。

外房の千倉で、業務用潜水の講習を行うためだ。


3年ほど前に、まったく同じ海岸を歩いたはずなんだけど、前回と今回で、自分の中で海岸の見方がだいぶ変わったなと実感した。

最近、伊豆半島の海岸のことを勉強しているせいだろう。なかなか興味深い海岸だった。




房総からの帰りは、久しぶりに東京湾フェリーに乗ってみた。

房総半島の先端辺りから伊豆半島へ戻るのなら、金谷からフェリーに乗って久里浜で下り、湘南を通ったほうが、東名、アクアライン経由より100キロほど短かい。

フェリーに乗っている間は運転をしなくてもいいので休めるし、なにより船旅気分なのが気持ちいい。


この日は平日の最終便だったので、乗り込む車は少なく、出発間際まで僕の車1台だった。



アクアラインができるまでは、先を争うようにしてフェリーターミナルに並んだもんだけど、最近はそんなこと無いんだろうか?

誰もいないデッキは、寂しい感じが漂っていたな。




日曜日の伊豆は見事に晴れ渡った。

土曜日の大荒れからは想像も出来ないほどの快晴だ。海も穏やかになって、最高の海日和。伊豆海洋公園で写真を撮ると、まるで南国の雰囲気になる。

青森の真っ白な海岸とは、随分と違うね。






季節はすっかりクリスマスモード。もう12月なんだね。恒例の水中クリスマスツリーも設置されている。





水中ポストにクリスマスカードを投函。

普通のはがきじゃぁ濡れてバラバラになってしまうので、書いたカードをパウチして防水してくれるんだ。

「水中から送るメリークリスマス」というわけ。





インストラクター用に、サンタの衣装を貸し出してくれるのだけど、今年は僕も着てみた。

意外と似合ってしまった。