2011年4月27日水曜日

【4/26:赤沢】 のんびりいこうぜ


4月26日
赤沢
晴れ
気温21.1度
西南西の風9m
水温16度
透視度8~15m


「最近どう?」なんて出だしで始まる最近の会話に、いい話なんてちっともない。
伊豆は観光に関係した業種が多いからね、普通の業種だって先が見えないっていうのに、観光の先なんて見えるはずもない。みんながみんな、渋い顔ばっかりだ。
でも渋くない答えにも出会えた。

こないだの天気が良かった日に、例によって日当たりのいい椅子に座っている、3軒隣のお爺さんの前を通ったら、「あぁいたんだ」と話しかけてきた。「いました」って僕が答えると、「車が止まってるから出かけてないのかなと思ってさ」と言うので、最近の定番の、こんなご時世で忙しくないですから、のくだりを答えた。

すると、やっぱり満面の笑みのままで、「まぁ、いいじゃん」とおじいさんは言う。
「え?」と思わず聞き返すと、「まぁさ、のんびりやればいいよ」って。

意表を突いた返しに、僕は何て言ったけかな?でもそれじゃ困りますよ、みたいなことを言ったら、「いんだよいんだよ、のんびりやればいいじゃん」と、やっぱり満面の笑みで言い切った。

そうですね、のんびりやりますか。って言って別れたんだけど、その道筋で見上げた空が、なんだか妙に青くて、「あぁ、そうか、のんびりやればいいんだな」。と立ち止まってマジマジと空を見上げて思いなおした。

まぁ、別にビジネスに成功しようとか思って伊豆に来たわけじゃないし。立派な人生設計を立てて歩んで行こうなんてこれっぽっちも思ってないしね。
どうせのんびりなんだから、とことんのんびり行こうかな、と思った青空だった。


さて、海。

今日は昼前後に西寄りの風が強かったけど、風が吹いてもウネリがあるわけではないので、水の中は揺れてる、というまではいかない。そんなことより、随分と透視度が良くなったのがニュースだ。いいところだと15mくらいは見えてる。

白濁ってる感もさほどなく、青い感じの水だった。このまま連休を迎えてくればいいな。そりゃぁ見えないよりは見えた方がいいもんね










小さな岩の亀裂になにやらいるのはシャコだ、フトユビシャコの仲間って奴だな。




目が合って、お互いに固まる。。。




写真を一枚撮ろうと思って、そーっと構え、一枚。


そして、半分隠れる様にしていた貝を、そーーっとどかすと





ん、丸まった



まるまったな。




死んだフリか?





海の中の生物で、ここまでわかりやすく死んだふりだったら珍しいだろうな


色々試してみたいけど、なかなか偶然に出会う生物じゃぁない。









ミカギボラがバテイラを食べているところ。


バテイラは「シッタカ」と言えばわかりやすいだろうか、ちょっとした居酒屋でお通しで出る様な三角の巻貝だ。


小さいけど、値段はサザエより高級。









白いのはミガキボラの卵だ。


いままさに産卵中のミガキボラをよく見かける。









岩肌に産みつけられた白いの1個が1個体というのではなく、カプセルのようになっていて、その中にいくつもの卵が入っているの。カプセルは柔軟でいて硬く、ちょっとやそっとじゃ破れたりはしない。鉄壁だ。










カプセルの根元の透明なところに透けて見える黄色いのが卵ひとつひとつ。


結構入ってるね。


50位はあるんじゃないかな。












カプセルの先端には出口があって、育つとここから大海原へと旅立つ。膜越しに黄色い卵が見えるね。




実はこのカプセルの中で、兄弟同士の弱肉強食が起こっているそうだ。強靭なカプセルの中で全員が無事に成長して大海原へと旅立つのかと思ったら、どうもそううまくはいかないらしい。






強靭なカプセルを造りつつ、中にいくつもの卵を産みつけるこの産卵は、実際に見ていても進んでる雰囲気は無い。

どう目を凝らして見ていても、まったく動いていない様子は、ない。


午前と午後で同じミガキボラを見ても、やっぱりまったく変化はないくらいだから、20も30もあるような状態は、1週間、いやそれ以上かかってるだろう。




ホント、少しずつ、着実に。だ。

なんだか貝にも「のんびりいこうぜ」って言われてるような気がしてきた。












































2011年4月24日日曜日

【4/24:赤沢】 海そうめん




4月24日
赤沢
晴れ
気温20.7度
西南西の風6m
水温15~16度
透視度5~13度


土曜日からの南東からのウネリが少し残っていて、ちょっと揺れる浅瀬。

でも、春の濁りではなくて、だいぶ水は綺麗に見える水にねってる。揺れている浅瀬でも透視度5m。トリップして水深20m位だと15m。って言うと怒られそうだから13mにしとこうかな。

水温はデータ的にはさほど変わらないけど、体感的には暖かくなっていると感じるけど、気配みたいなもんかな、お天気が良くて暑いくらいだったから、そう感じたのかもしれない。











浅瀬ではアメフラシの卵が目立っていた気がする。
鮮やかな黄色やオレンジの卵は海底ではかなり目立つ。





転がっている卵の塊はフニャフニャではなく、このままの状態なので。そう、インスタントラーメンみたいだ。昔から麺みたいだと思われていたようで、「海そうめん」と呼ばれてる。


アメフラシ自体を食べる地域は結構あるようで、隠岐では煮た後に酢味噌にして食べるらしい。



卵も「海そうめん」として食べると聞いた事があるのだけど、海藻に「ウミゾウメン」という種類があって、その料理と混同されていて本当にアメフラシの卵の海そうめん料理があるのか、よくわからない。



ただ鹿児島大学の水産学部のブログに「富山の居酒屋でウミソウメン(アメフラシの卵)を食べた」という文章がある。海藻研究ジャーナルというブログの中で「紅藻のウミゾウメンではなかった」と言い切っているんだからリアルっぽい。




富山の方、KANAちゃん見てるかな?教えて下さい。










さてさて。綺麗だなと手にとってみたこの卵もラーメンのようだけど、さすがに水中でインスタントラーメンが硬いままのはずもなく、ラーメンとは見間違えない。

けど、「ん?もしや、紐か?」と一瞬思ってしまった。





僕の水中で字を書くスレートに付いている紐。



似てる…



硬めの組みひもが絡まっただけのゴミを「アメフラシの卵だよ」だなんて紹介してしまったらえらいこっちゃ。笑えない。いや、笑いはとれるかもしれないが捨て身すぎる。





マジマジと見直す。





この塊が本当に紐だったら、間違えを面白くフォローしようか、それとも知らんぷりして岩陰にでも置いておこうか。と0.2秒考えた。






よく見ると、透明なチューブの中に黄色いツブツブが並んでる。
大丈夫だ、これはアメフラシの卵だ。よかった。


しかしこの海素麺。どれくらいの長さなんだろう?粒の一個一個が1アメフラシだから、この卵塊だけで相当な数のアメフラシが誕生することになる。
誕生したアメフラシは幼生として浮遊生活をし、夏を超えて運良く生き残ったものが、浅瀬でこのアメフラシの姿に変形して現れ、成長して春を迎えると、こうやって産卵する。


んだそうだが、秋になって小さなアメフラシ。というのを見た事はないなぁ。
秋は見たい生物が多いでの、アメフラシというキーワードがすっかり抜けてしまってる季節だ。いかんな。



この先、水温が高くなるとアメフラシの姿は見られなくなる。

でもいなくなってる訳じゃぁないってことだな。目の前で浮遊してる濁りの中に、アメフラシの幼生がいるんだろう。


秋になって、戻ってきたところに出会いたいもんだ。




2011年4月18日月曜日

【4/17:川奈】 …だんご


4月17日
晴れ
気温15.5度
北北東の風3m
水温15度
透視度3~10m




体の濡れない「ドライスーツ」というのを着るのには、首を通すのに苦労する。
首の太い人は楽なんだよね、頭との差がないし、十分伸びるから。そう僕なんかは苦労した事は一回も無いさ。でも細い人で、慣れないうちは大変、らしい。

で、コンビニ袋を被ってスルっと通すという定番の裏技があるんだけど、先週のお客様が「ともだちみたいだ」と言ったので、なるほどと思って書いてみた。
ものすごく盛り上がるんだけど、たぶん本人には皆のリアクションが良く見えてないだろうな(笑)





朝一は北寄りの風で潜水注意がかかってた川奈だったけど、伊豆高原最強と言われる?のんびりペースのアクアティック・プロが付くころにはすっかり凪だった。

風も無く、気温は昨日より10度も低いけど、暑いくらいのいい天気だ。最高。

川奈も春濁りで透視度はいまいちだと聞いていたんだけど、潜って見たらまずますのブルー。
10mくらい見えてたかな。悪いと思って良い方向にハズレると嬉しい気分になる。最高だ。


遠浅の磯に一面に生えていたのはフクロノリ。
いわゆる「海藻」という形をしていないので、普通の人はこれを見たら何かの残骸かと思うかもしれない。でもこれが立派な形態だ。

名前の通り薄い膜で袋状に育って、シワシワのドームを作る。どこが根元か先端かなんていうところは一見してわからない見事なシワシワドームだ。
やや硬い薄膜は触ると簡単に壊れてしまい、中身はない。まさに袋ノリだ。

春から初夏にかけて多い海藻で、こういう風景も「春だなぁ」と思うところ。壊れやすい海藻なので、バリバリ外洋というよりは内湾に育ちやすいだろうから、川奈らしい風景ともいえる。
赤沢にはこんなに生えてない。









遠浅のフクロノリの林を進み、深くなる斜面まで来ると雲行きが怪しくなってきた。



なんだか茶色い。




斜面と言ったってほんの5mほどなんだけど、下がりきったら茶色い海だった…
昨日の赤沢もそうだったけど、表層は綺麗で暖かく、下層は冷たくて濁っているようだ。透視度では6、7m。水温は2度くらいの差がありそう。

現れた小さなイカはヒメイカだ。
体長は2センチないくらい、世界で一番小さいイカと言われてる。
どうも背筋を伸ばした様な、妙なかっこをしているんだけど、背中に粘膜を出す所があって、海藻の裏側なんかにくっ付く事ができるんだ。
このヒメイカも海藻にくっ付いていたんだけど、僕らが来たんで少し泳いだんだろう。




これもやっぱり冬の最低水温から上がり始めるような季節に多く見られる生物で、春らしい奴だ。






真っ黒のイロカエルアンコウは1センチもないくらいだ。
小さい。
小さすぎる。





今年の川奈の春はこいつ、ダンゴウオの大フィーバーだ。
ダイバーには絶大な人気を誇るスーパーアイドル。その姿、目、口元はピクミンかハクション大魔王の壺かというところで、可愛くないようで可愛いんだな。やっぱりこの方も春の季節限定。

でもね、小さいの。
この個体で5ミリくらい。生で目もと口元の可愛らしさを見ようと思ったら、虫メガネを駆使しても相当頑張らないといけない。さらにその半分くらいのダンゴウオは天使の輪という模様が入っていて大人気というんだから凄い。というか、見つける人が凄いね。

もちろん、久しぶりの川奈で僕が自力でダンゴウオを見つけるというのは、そりゃぁ大変な事。なーんで川奈が得意なガイドに教えてもらったの。カメちゃんありがとう。お返しは赤沢でね。




でもね、自力でも見つけたので結構いっぱいいるんだと思うな。
去年は全然出現しなかったし、今年も川奈以外ではチラホラってくらいだから、この春は「団子の川奈」だね。







なんだか立て続けに季節限定の生物を堪能したけど、意外とスルーしてしまうのがナマコだ。




水温が下がるとあたりそこらじゅう出現するのがマナマコ。



冬が旬の珍味、ナマコ酢やコノワタは、マナマコ料理だから、まさに冬の代名詞ともいえる生物なんだなけど、リアルな姿に好き嫌いもあるので、ガイドとしてどう料理するかっていうのは、なかなかつかみづらいところがある。

今日見たこいつはマナマコかと思いきや、「ん?ちょっと長いな」、「いやいや、だいぶ長いぞ…」
マナマコは触るとすぐに丸くなたっり硬くなったりするんだけど、こいつの場合は変化なし。最初からこのままで硬いく、まるで棒のようだ。




アカオニナマコも頑固で主張の強いやつだけど、ここまで自己主張が強いってのはたいしたもんだ。
あ、こいつはフジナマコ。たぶん。
色々分類の難しいカテゴリーなので、調べると果てしなくなってしまうのだけどね…

ナマコが季節の生物紹介からはずれてしまうのは、なんともかわいそう。是非とも面白おかしくナマコを紹介したいなと思った川奈の春の海でした.
































































【4/16:赤沢】 花より…



4月16日

赤沢

晴れ

気温26.2度

西南西の風6m

水温14~15度

透視度3~7m



先週末から今週初めに満開になったソメイヨシノは見事な桜吹雪を演じてくれてる。

今日は風が強かったのでとても見事だ。富戸駅の桜の木も見事な桜吹雪で、到着のお客様を待つまでの間中、いきものがかりのSAKURAが頭の中を回ってた。






海は透視度がとても落ちてる。いわゆる「春濁り」という奴だ。

水温が高まり始めて、活性が上がってきているのだろう。海には悪い事じゃぁない。

「見えない」というのはダイバーにとってストレスではあるのだけど、大自然を相手にしているんだから、それもひっくるめて楽しまないと嘘になる。

世界で一番生物が豊富だと言われている日本の伊豆半島が、夏へと向けて生命を爆発させるためのエネルギーをためている瞬間なんだ!と思えば、そのほうが魅力的にさえ思えてくる。 「彼女のどこが好きですか?」と聞かれたら「全てです」と、少なくとも僕はそう即答しなくてはいけないんだと思ってる。

彼女に好かれてるかどうかは、別問題だけど。



目を凝らすと、植物プランクトンみたいなのや、多分魚だろうなとしか思えない位小さな稚魚の群れが漂っているのが見える。

大きめのはなんだろう?と思ったら桜の花びらだった。気付いてみればそこらじゅうに桜の花びらが舞ってて、桜吹雪になってた。

赤沢の周りに目立つ桜の木なんてないし、流れて込んでる川も近くにはないのだけど、やっぱりつながってるんだなぁ、と思う。






遠くまでは見えないので、割と下を向きながら泳ぎ進むと、お客様の一人がなにやら持ってきた。

なんだこれ?うーむ、ウミウシだろ、背中に貝がついてるね。

ダイバーに人気の「ウミウシ」は元々は巻貝だ。 巻貝は、その堅い貝の中に閉じこもることで身を守ることができるのだけど、自分の栄養で貝を大きくしなくちゃいけない上に、重い貝を背負って移動しなくちゃいけない。ウミウシは思い切って貝を捨てて身軽になることを選んだ。貝が貝を捨てるっていうんだから、そりゃぁ当時の巻貝界は大騒ぎだったろう。今でもその中間みたいに貝が名残ってる奴もいるんだ。

…と思ってあらためてウミウシ図鑑を見ると、このスカシガイは「貝」だという。 なに、動きはまったくウミウシっぽかったし、貝ったって背中に申し訳くらいにしかないじゃん。

それによくよく見たらミスガイはウミウシの図鑑に載ってるよ。ミスガイの貝なんてメチャクチャ立派に巻貝じゃない。名前にガイって付くしさ。貝じゃないのか? わからんなぁ。






最近港内でよく見かけるクロウシノシタ。

料理で有名な"舌平目"なんかもこの類。

見事にへんてこな口をしているので、面白いなと思う魚なんだけど、前はちょいと遠めの砂地で見かけていたのでわざわざ見に行く事は少なかった魚。港内でじっくり見られるとうれしいな。

手前の目もとにあるフサフサの所が口。うーむ、どうもわかりにくいな。どうしてこんな口になっちゃったんだろう?という口なんだけど、裏を見ないとよくわからないんだなぁ…






あ、また貝だ。

ベニシボリと螺旋状の卵。

繊細で獲っても綺麗な貝だねーなんて言うけど、分類上、頭楯目ってことはミスガイと一緒でウミウシなのかな?でもウミウシ図鑑には載ってないね。

わからん…





今日はナイトダイブをするので、夜になるまでの間、海岸の森を散策。

天気がよくって気持ちいい!





夜の肴に野草を捜してみた。

写真は「ハリギリ」。すっごいトゲに気を付けながら、若芽を摘む。天ぷらにするとほろ苦くて美味いんだなぁ。





ナイトへGO!








見事に晴れた夜空で、13夜の丸い月が海の中からも見られた。


鏡の様に静かな海面だったら丸く見えたのかなぁ、魚ごしの丸い月の写真なんて、撮ってみたいな。






ミミイカ。かな。


案の定うまくは撮れない(笑)






夜は魚も寝てるので動かないか、動いても寝ぼけてるように鈍いんだ。


ほらほらっ見て!って大喜びして近寄ってきたお客様。暗くて顔なんて見えないけど、そういうのはわかるもんだね。手元にはキタマクラというフグの子供。寝起きにビックリしてパンパンに膨らんだんだね、やっぱりフグなんだ。


しかしまんまる!なんて可愛らしい姿なんだろう。北枕、なんて縁起の悪い名前が可哀想だな。


でもフグはフグだ。内臓や皮には猛毒のテトロドトキシンがある。もちろん素人が食べたら死ぬ。


磯釣りで釣れてしまう魚NO1の魚でもあるから、キタマクラという縁起の悪い名前を付けることで食べない様にしたんだろうな。食べたら北枕になるのかな、なんて想像しやすいもんね。




それでも肉には毒が無いのだそうで、食べる地域もあるらしい。


「超最高に美味しいんですよ!」と、さかな君が言ってたのを思い出した。


人間て凄いな。
















2011年4月14日木曜日

ボラ喰ぅだ





桜はソメイヨシノも満開になり、桜吹雪が綺麗。

土曜日の天気予報は、今日の午前中は曇りのち雨だったけど、さっき見たら晴れ時々雨、になってた。

なんじゃそりゃ的な天気予報だけど、まぁ、明後日の天気予報なんてそんなもんだな。 明日になったら晴れになってるんじゃないかな?



写真は市街のユニーの駐車場の桜。

先週まで満開だったコマツオトメはもうすっかり緑の葉になっていたけど、この枝垂れ系の桜は満開になってた。







月齢10の月が昼間から出てる。

よしよし。土曜日のナイトダイブでは、12.5夜になっていて、ほぼ真上に月が出るはずだ。満月じゃないけど、雲間に出る月ってのもいいかもしれない。晴れてくれ!



さて、ユニーの中の魚屋を見たら、今日は珍しくボラがあった。

伊豆では足の着くような浅瀬にでも普通にいる魚で、ダイビング中に数匹見かけるなんていうのはあたりまえなんだけど、時にはもの凄い群れになっていたりしてあなどれない奴ら。

南の島で悠然と渦の様に群れている「バラクーダ」(カマスの仲間)を文字って「ボラクーダ」なんて呼んだりしてる。



こんな感じ。

もはや壁。







獲れない魚ではないと思うのだけど、人気がないのか、安すぎて商売にならないからなのか、あまり店頭に並んでいるのを見かけない。

ボラは臭いって有名な話だ。

子供の頃住んでた横須賀でよく釣りはしたけど、ボラを釣って帰ると母は、「ボラなのぉ・・・」と言って喜ばなかった。確かに、台所中が生臭い内臓の臭いだった記憶がある。僕も、ボラは臭いもんなんだと思ってた。

伊東に来てから、近所の人にボラを頂いた。

せっかく頂いたんだし、じゃぁ臭いが消える様に味噌漬にでもして焼いて食べるか。なんて食べたら、これがまた美味いのなんの。びっくりした。

臭いと思っていた魚が、その瞬間に大好きな魚類ナンバー1に躍り出た。初登場オリコン1位になるくらい凄い。

それ以来ボラのファンなんだな。







ボラとしては小ぶりだけど2人で食べるには十分すぎるでかさ。これで200円。

抜群のコストパフォーマンス。







「粋でイナセな…」っていう言葉があるけど、イナセって「鯔背」って書くんだよね。鯔はボラのこと。

江戸の日本橋あたりの魚屋の若い衆で流行ってたマゲが鯔背銀杏と言ってボラの背中に似てるところから来ていて、イナセだ、というのはその連中みたいだ、ということらしい。

マゲに見えないこともないけど、実物が見てみたかったな。









脂瞼という瞼。


半透明の薄ーい膜が眼球の上を覆ってるんだけど、真中はあいてる。全部覆っている魚もいたり、ない魚もいたりだけど、意外と脂瞼のある魚は多いね。


ボラは目がでっかいから分かりやすい。


もちろん、人間みたいにぱちくりはしない。








魚にも鼻はあって、ちゃんと臭いも嗅いでいるんだね。


水の中でどうやって臭いを嗅ぐんだろうと思うけど、そもそも臭いというのは成分が水に溶けたうえで感知するものらしく、陸で嗅ぐよりも水の中で嗅ぐ方がひと手間省けるものらしい。


人間も頑張れば嗅げるかもしれない。


魚は肺呼吸じゃないので息を吸って嗅ぐということがない。なので鼻の穴は2個あいてて片方が水の入り口で片方が出口。水が内部を通る間に感知するって仕組み。が2組で鼻の穴は4個だ。






歯は、ないよなぁ…


歯という感触はまったくなし。見た目もなし。


ダイビング中に海底をパクパクしているボラをよく見かけるけど、何かを食いちぎるというよりは吸い込んでるんだな。


とりあえず何でも吸いこんじゃうから、海底の泥が臭ければ、ボラの体も臭くなってしまうね。










そろばん。などと呼ばれる胃の幽門部分、1匹に1個しかない。サクサクコリコリとした感触の珍味だ。


まぁ、砂肝みたいな感じかな。








観察してると食べられない・・・







半分は刺身で。


臭みなんてぜーんぜんなし。


見は柔らかいけどね、美味しい。






半分はオリーブオイルで炒めてからスープを入れて菜の花を蒸した状態にして出来上がり。






「粋で鯔背」っていうくらいだから、昔は相当にポピュラーな魚だったんだろう。


伊豆でも江戸初期からボラ漁が盛んで、昭和30年ころまでは獲っていたそうだ。


富戸には「ボラ納屋」「魚見小屋」というのがあって、どちらも江戸時代からのボラ漁の施設を復元、保存しているものだ。ボラの大群が来るのを待ち構える魚見小屋は静岡県の有形民族文化財になっている。


ご当地食材でB級グルメっていうのが流行ってるけど、ボラなんか最高だと思うけどな。


















2011年4月10日日曜日

【4/10:赤沢】 たのしイカ!またあしタコ。



4月10日

赤沢

晴れ

気温16.7度

北北東の風2m

水温14~15度

透視度12~20m



昨日の南西の風から変わって弱いけど北東系の風。

少し寒くなるかなと思ったけれど、晴れているので肌触り的には同じ様な空気だった。

北東の風といっても力は弱いし、沖からのウネリも特にないので何処にいっても穏やかな海なのだけど、今日は赤沢にダイブ。

ヤリイカの卵とか、どうなったかなぁ、って、やっぱり気になる。





ビーチエントリーで港外に出て、少し岩がゴツゴツとしたところまで泳ぐとヤリイカの卵が産みつけられているところがある。

沖合の砂地から岸辺の岩地が始まる水深10程度の所で、大きな岩の下に穴が開いた様に空間が出来ているところだ。

だいたいこの時期に、ほぼ同じ所に産みつけれれているから不思議だ。沖へと向かって進むにつれて、岩はさらにごつごつとなり、産みやすそうな岩の空間なんて無数にあるのに、いくら注意して見てもヤリイカは卵を産んでない。どうしてもこのあたりがいいらしい。いったい何が違うと言うのだろう?。わからん。





ヤリイカは岩の下面に房のような卵を産みつける。何本も房状の卵がぶら下がる事になるのだけど、ひとつの房は何個もの卵が集まった集合体になっている。

写真の卵は先月産みつけられた卵のアップだ。房の中にいくつもの丸く独立した部屋がいっぱいあって、一匹ずつヤリイカ収まっている。

一本の房に100匹だとして、100本あれば1万ヤリイカとなる。



この卵はもうすっかりイカらしい形になってきた。

フラッシュの光が出来たての目に反射して光ってる。向こう側のイカの目も光ってる。

房自体の太さは、そう、だいたい8ミリくらいだろうか、ひと部屋のスペースが半分の4ミリくらいで、一匹の大きさは3ミリ程度。

こういうのを見ると、また次に潜ったときにどうなってるか楽しみになってくる。

すぐ隣に、先月末に産みつけられたと思われる、まだイカの形にもなってない卵もあるし、5月の連休に産みつけられることも珍しくないので、まだまだ楽しめるヤリイカの卵だ。


なんてこと言っておいて、僕は大人のヤリイカを見たことがない。

そんなに潜ってるのになんでー?って言われそうだけど、出会いがなかったんだから仕方がない。

今度の16日の土曜日はナイトダイブをする予定なので、この場所に行ってみようと思うんだな。ヤリイカの産卵は夜というのが通説。もしかしたら、もしかして。暗闇からスーッとヤリイカが現れて…

期待、というより「妄想」が加速して今からパンパンだ。



砂交じりの転石の磯を何気なく見ていたら、なんか半透明に白い、細く放射状に広がるような物体が目に入った。クモヒトデのようにスーッと岩肌を動いていたのはこいつ。




おーこれはタコだタコだタコタコタコ。

いやぁ、ちいせえっ!なんじゃこりゃってくらいちいせえ。

マダコか?



タコは足があって目のある頭、その上に頭みたいに見えるのが体という、ニコチャン大魔王的な体の造りになっているのだけど、このタコは体の縦の長さで8ミリくらいかなぁ。足の先までも2センチはないような極小タコ。

でも、足の吸盤はちゃんと出来てる。


薄茶色い斑点は体の色を変化させる事が出来る「色素胞」。まだ全身を覆ってはおらず、点々としているだけ。これじゃ銀色に光っている内臓部分も丸見えだ。


色は特に変化する様子は見られなかったな。幼くて変化させられないのか、こちらのことを気にして居なかったのかは、これまたよくわからない。
色も形も変化するし、意外と種類も多いし、専門の図鑑も少ないし。タコはムズい。


そーっと移動して、また小石の隙間に隠れていった。

どうぞご無事で。でも放流したアワビの稚貝は食べないようにな。