2012年10月14日日曜日

贅沢な間違い探し



2012年10月13日
伊豆半島赤沢
晴れ
気温22.0度
南南西の風1m
水温24.7度
透視度8~12m


秋の空だ。
晴れていると暑いくらいとはいえ、濡れた体には冷たさを感じる様になってきた。



海の中も秋の様相。
でも水温は、まだまだ25度前後と高い。

月曜日から3日間の講習を終えたMOMO君は見事に水中を飛べるようになった。
ムレハタタテダイとのショットも、ダイバーの写真らしい爽快感がある。
秋は海の中を飛ぶにはいい季節だ。




今年は色んな生物に出会えている伊豆半島。
まさかの人気者が出現して忙しい海の中だ。


亀裂に棲みついたユカタハタの幼魚は、少しダイバーに慣れて来たのか長い時間魅惑の赤を見せてくれるようになった。


と、ユカタハタの幼魚を見ていたら、あれ?君誰・・・
黒地に黄色のライン、そして散りばめられた赤。ヌノサラシだ。
目の端に映っても気付く様なデザインは、隠れる為のものではないだろう、ヌノサラシは皮膚から毒を出す事ができる魚だからだ。
危険が迫ると毒を出すので、観賞用として他の魚とは一緒に飼えないらしい。
この黒と黄色の模様は、「オレ、毒があるぜ」と表現するデザインなんじゃないかな。
ゴンズイも黒と黄色のストライプ。
「毒がある魚はこのデザインにしましょう」とか魚会議で決めているってはずはないからね。




ここ何日か、北東の風が強かったので赤沢でのダイビングが続いたのだけど、ふといつものエントリースロープで魚を見たら見慣れない奴が泳いでいた。
黄色の横筋はヨスジフエダイの子供のようでいて違う。いや、まったく違う。パターンが逆だ。
あまりにも浅瀬のすぐ近くにいるので、僕の勉強不足かと思ってまわりのガイド仲間に聞くものの、誰も知らないという。
実はこの魚、名前を調べるのにかなり苦労した。なんせ手持ちの図鑑にはまったく載っていないのだ。
ネットを駆使して調べて、「ヨスジシマイサキ」なる魚かと思ったのだけど、3日後にガイド仲間が頑張って調べて、「スジミゾイサキ 」だと言ってきた。
スジミゾイサキ…。なんだそれ?
写真を見てみると…なるほど、これだ。
先に身元を判明されてしまったのは、かなり悔しいけど誰なのか判明してスッキリだ。



スジミゾイサキは四国より南に多い魚だそうで、それでも稀種だという。
全く普通のスタイルで、どこにでもいそうな魚だけどね。

上の写真は間違い探し(笑)
ほら一匹混ざってるでしょ。
きっと彼も仲間だと思って群れてるんだよ。



アイドル的な生物を追い掛けるのも悪くないけどさ。
こういう地道な“気付き的発見”も面白いよね。



群れには色んな魚が混ざる事がある。
混ざる事を良しとしない魚もいるけど、混ざる魚の方が圧倒的に多い。
上の写真も混ざってるでしょ、3種、本当は写っていない所でもう2種ほど混ざってるの。




これも間違い探しだなぁ。
ムレハタタテダイの群れに混ざって…
ダイバーじゃないよ。
皆がハタタテダイと見分け方を気にする、あの魚がいるでしょ。



港内の浅瀬にたくさんいるボラの群れ。
今日はそこに混ざってなんと・・・!

いやはや、あの南の海の代名詞みたいな魚の、それも成魚が混ざってるとは思ってもみなかった。
やっぱり、なんでもいいから群れに混ざろう!ってんではなく、色合いの似たような群れに溶け込みたいのかな。
魚は自分のスタイルがわかってるって事、だよね。



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2012年10月8日月曜日

ビールで乾杯。


2012年10月8日
伊豆半島赤沢
晴れ
気温22.0度
北北東の風6m
水温25.6度
透視度12~25m


秋の連休初日は富戸。
暑いくらいの天気に恵まれて穏やかな海だった。

PHOTO:TAKUTO

先日、地道に砂地を歩いているセスジミノウミウシを見たと思ったら、今日は泳いでいるセスジミノウミウシだった。
体をくねらせたりと、泳ごうとするそそぶりはなく、水の流れにのるように漂っていた。
この自然体の感じも綺麗だね。

しかし、今の富戸はアイドルが豊富だ。
ニシキフウライウオがいたという話を聞いて行ってみる。
ライトを照らさない肉眼ではベージュが混ざったようなケバケバの物体だったけど、光を当てるとそれはそれは見事な体だ。
あとから写真を見るとさらに凄い。
まったく、生物のデザインは不思議だ。

PHOTO:TAKUTO

サラサハタの幼魚がいるという話を聞いて行ってみる。
この魚は僕は初めて見た。
白い体に黒の水玉の体は、生きている魚とは思えない。水玉の配置も絶妙だ。
顔のあたりは目と同じ大きさの黒丸が並ぶのは、急所をわからなくする為だろうか?

結構動きの激しい魚で、くねくねと腰を振りながら、大きな胸鰭を、まるでアホの坂田のように交互に動かし続ける。
見つからない様にしようと思っている動きには見えない。
可愛い姿をして、結構勝負を挑んでいる魚なんだろうか?などと考えてしまう。



次の日からは北風が強く、富戸はNGだったけど赤沢は穏やか。透視度もいい!
ビーチではオキタナゴの群れがこれでもかと群れていて、俊敏に泳ぐ求愛行動も見られる。
秋を感じさせる光景だ。
オキタナゴは卵胎生の魚で、来年の春になると2センチほどの仔魚を出産する。
出産のシーンは春に観察する事ができるのだけど、今目の前の求愛行動の次。交尾のシーンがよくわからない。
交尾してるのかな?
速すぎて見えない、追えない…



まだまだテスト中ではあるのだけど、先月認定された、「伊豆半島ジオパーク」の“ジオサイト”のひとつ「赤窪ジオサイト(仮称)」にお客様をご案内した。
 1万3千年前に赤窪火山から流出した溶岩の流れの先端部分だ。

ジオサイトは、ジオパークの中でも地形の成り立ちや様子が解りやすいところが指定される。
赤沢の中の崎周辺は、赤窪火山からの溶岩流が見てすぐに感じ取れるので、「赤窪ジオサイト」として指定されてる。
その水中部分は、陸上で、「なるほど」と思う以上に豪快に溶岩流の痕跡が溢れている。
鋭く切り立った根の連続、通路の様な裂け目。激しい凹凸の岩肌と、あまりにも滑らかな岩肌。
中層を泳げば、アルプス山脈を飛んでいるような感覚になれる場所だ。




赤沢の港周辺と違って白い砂も広がる。
果てまで続く様な白い砂地は、「波照間級」だと、思う。。。
あまりにも複雑な地形を整理して地図を作り、ブイを設置したりモデルコースを作ったりと、広く皆さんに紹介出来るようになればと思う。

 



ビーチでは、200ダイブを迎えた仲間のお祝い!




なにかアイデアはないですか?と言われたので、ビールで乾杯してみてはどうかと提案した。
映画の「グランブルー」で、ジャックとエンゾがプールの中でシャンパンを飲んでいたように、なるのかな??というわけだ。

深いとビールは泡立たない。ということで、超浅瀬の2mで乾杯!
チビっとの泡が出て、ビールはゆらゆらと上へと上がってゆく。




微妙に黄色くなったグラスの中の物体を飲む200本ダイバー。
口に入るのは99.9%海水であり、ビールではない・・・




力技で泡だててシャンパンシャワーならぬビールシャワーにして口元へ。
と、やっぱり飲める訳が無い・・・

ちなみに、ダイビングをする前にお酒は飲んではいけない。
もちろん、ダイビング中もお酒は飲んではいけない。

飲めると思って提案もしてないけどね。


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2012年10月4日木曜日

新婚さんいらしゃい!


2012年10月3日
伊豆半島赤沢
曇り時々雨
北北東の風5m
気温22.3度
水温25.6度
透視度8~12m

常連さんの女性からご予約のメールを頂いた。
「10月1日に行って、2日、3日と潜りたいんですけど、旦那連れて行きます」
ふむふむ、10月2、3日は平日だし、貸し切りでのんびりできるんじゃん。と思いつつ…
いやちょっと待てよ。彼女は9月30日が結婚式だったよな。10月1日って次の日じゃん。あれ?これもしかして新婚旅行??
 いや、誰がどう考えたって、結婚式翌日の夫婦の旅行は新婚旅行だ。間違いない。




旦那さんは、十何年前に海外でライセンスを取ったきり、という完全ペーパーダイバー。
奥さんは、伊豆半島のみで50本近く潜っているという完全伊豆ダイバー。
十何年ぶりだなんて、旦那さんのダイビングの知識は完全にリセットされてるだろう。色々お教えしてリフレッシュしないといけないかなと思ってたのだけど、ウエットの着かたとかスクーバの組立とか、奥さんが教えてくれている様子を見て、僕はあんまり口挟むのやめといた。

いざ海に潜って見ると、長期のブランクをあまり感じさせない。バランスも悪くない。
「なんだ潜れるじゃん」
さすがに中性浮力的な事柄は忘れているようで、奥さんに「BCに空気入れなよ」みたいなゼスチャーを受けている様子が見える。なので僕は手を出すのをやめといた。



新婚ダイビングなので、ペアになっている生物と一緒に撮ってみる。
アカハチハゼとのショット。撮れた、と思ったら二人は違う所見てた… 


クマノミは小さいのでペアってことはないだろうな。
でも2匹と一緒に。
ハナハゼのペアとも撮ろうかと思ったけど、あれは少々難易度が高い。


結婚式のままの綺麗なネイル。これは是非!と水中ネイルサロンに行って頂いた。
ホントはこのキラキラの部分にサラサエビさんには乗って欲しかったのだけど、どうもうまく行かない…
リアルネイルで綺麗にしすぎてしまったからだろうか。
結構粘ったのだけどこれが限界…
エビ使いへの道は遠い。


台風が連続していたけど、うまい事すり抜けた新婚ダイブ旅行。幸運だったね。

2日の富戸はあまり台風のウネリを喰らわなかったようで割と以前と変わらない様子だった。浅瀬のサザナミヤッコも、1カ月半前とは比べ物にならないくらい綺麗になってる。
他にも更にボリュームアップして賑やかになってきてる感じがあった。

赤沢の方は南からのウネリの影響をやや受けたのだろう、結構変化していたなぁ。半リセット的だ。
砂の掘れ具合や石の様子も変わっていたので、これから研究の余地あり。その未開感もまた面白いのだけどね。

と言ってる間に、また台風が通り過ぎた。
今度は沖合を通る台風だったので、今になってウネリが強い。
4日の現在の富戸の海は、3mほどあろうかという大きな波長のウネリが東から入っている。
このウネリはパワーがありそうだ。

明日は撮影の予定が入っているので、是非とも富戸に潜りたいのだけど、OPENしたとしても、お仕事内容からすると厳しいコンディションだなぁ。
6日からの連休は良さそうな予感。
ホント、海は色々だなぁ。