2011年12月8日木曜日

再生の芽


12月8日
赤沢
晴れのち雨
気温10.9度
北北東の風3m
水温19.4度
透視度15~20m

朝のうちはいいお天気だったのだけど、だんだんと曇り始め、お昼過ぎには雨が降ってきた。
風は北寄りなので赤沢は波もなく静か。港内にはギンイソイワシが大量に群れている。

カタクチイワシと違ってビュンビュンと活発に泳ぎまわる様子はなく、水面から水深2、3mほどにかけて雲の様に漂っている。もっと日差しがあったら、いい光景になるだろうな。

ギンイソイワシは、一見カタクチイワシの様なんだけど第1背ビレと第2背ビレ、ふたつの背ビレが有る奴だ。
 カタクチイワシには背ビレはひとつしかない。よーく目を凝らして見ると、どうにかこうにか第2背ビレが見えるのでカタクチイワシでじゃぁない、というところまではわかるのだけど、果たしてギンイソイワシなのかトウゴロウイワシなのか、それともムギイワシなのかは、正直分からない。

わからないのに、なんでギンイソイワシと言ったかというと、先日釣りをした時に釣りあげたので、少々高価な図鑑とにらめっこしてヒレの骨の数などを数えてみたからだ。それくらいしないと分からない、というか、それでもわからない種類もある。
 僕は魚の先生でもなんでもないけど、とりあえず赤沢の港内を埋め尽くす様に泳いでいる奴らはギンイソイワシと決めた。

ちなみに、ギンイソイワシは美味しくもなんともない…





足が取れてしまったショウジンガニがいたので、ゲストに、「自分で切り離すようにできてるんだよ」的な、カニの不思議を紹介しようと思った。
黒くなっている所が自分で切り離すことのできる自切点なのだけど、折れた3本中1本は赤いのが目に入った。

あれ?あれれ?もしやこれは…

そう、これが「再生芽」だ。


袋状になった薄膜の中に、折りたたまれた小さな足がわかるだろうか?

次に脱皮をすると、少し小さいながらも元の足が出来上がっているんだ。薄膜の袋は脱皮殻として残される。
これはトゲアシガニの脱皮殻。再生芽の薄膜が残されている。




このショウジンガニの再生芽。薄膜の様子を伝えつつ、透明感があって中の様子が見える感じがなんとも素晴らしい。
新たな足にすでに模様ができている様子や、折りたたまれ具合と爪の先が見えてとれる様子も最高だ。僕のダイバー生活史上べストオブ・再生芽だ。


これでゲストが喜んでくれるかどうかが一番の悩みどころだったのだけど、食いつく様に見てくれたので安心した。
今日のゲストは3年ぶり2回目のガイドとなる女性。ダイビング本数は25本。
「あんな風に足が生えるんですね、初めて見ました」って言ってたけど、そりゃそうだ、これはダイビング20年、10000本中のベストオブ再生芽なのだ。

きっと、暫くは見られない。
海の中には一期一会のルールがあるようで、人の思うようには、なかなかならない。

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