2022年3月6日日曜日

水中を360度見られるカメラを作る②

当時RICOHからRという業者向けの360度カメラが発売するところだった。360度カメラとして一般あ販売していたシータのシリーズで、Rは「ライブ配信に特化している」というのが売りだった。外部からの電源入力、HDMI出力があるのでRで検討することにした。
水中では電波は通じないのでwi-fiでの出力なんてなんの意味もない。火星に着陸した探査機の映像をライブで見る様な時代に、水中は相変わらずケーブル引き回しの刑なのであある。ので、有線出力がないと100%NG。かと言ってHDMIから出た信号はほんの数メートルしか伸ばせないので、SDIなどの信号に変換して同軸ケーブルで100mほどとなるようしないといけない。水深100mへの到達には、潮の流れで垂直では下ろせないことがほとんどであるし、船の上でも数mの余裕を考えないといけないので、せめて150mは欲しいところだが、まずは100mで実行する。

オリジナルのEYE-BALL上部

ドームハウジング内部でカメラから出た信号をSDIに変換し、外部に出さないといけないが、照明やサーボの動作を含めた複合ケーブルを使っていたオリジナルとはケーブルの径がかなり違うので使えそうもない。
なので、上部の蓋部分はオリジナルで製作することにする。お世話になっている株式会社ダイブウェイズにコンセプトとアイデアの絵を説明して設計してもらい、材料を選択してもらい、加工してもらう。ダイブウェイズ社は葛飾区東立石の町工場が溢れる場所にある、まさに下町ロケットの世界。潜水用のレギュレターや水中機器のハウジングで有名だが、長年お世話になってもいたので完成品への不安は一切ない。依頼した時点で、すでに完成した様な気になる。


ドーム上部の白い部分が新しいパーツ

製作にはそれなりの期間がかかったけど、当たり前だが設計図通りに品物は仕上がって来た。
新しいパーツに、今まで使ってきた、これまたダイブウェイズ社製の水密コネクターを取り付け、水中コネクターも取り付け、カメラと変換器を取り付け、映像と電源ケーブルを繋げる。
そうなる様に設計してあるので、パーツ完成後の作業は早い。
さて、スイッチオン。

内部の360度カメラ



映るね。映ります。
RICOH Rの良い点は外部からの電源オンでカメラに触ることなく起動するところ。カメラがドームハウジングの中に入ったままでオンオフできるというのは水中機器には絶対条件に近い。これが、電源ボタンを押さないといけないとなると、何かのトラブルで水中で電源が切れた場合、一回陸上に上げてから電源を入れ直し、ハウジングを開けてスイッチオン・・・などと、劇的に面倒になる。このRの場合はもはや入れっぱなし。整備以外で開けて出すことはないということになる。(他のがどうかは知らないけど)

さて、錆びた水が溜まっていたEYE-BALLは360度カメラとして復活に成功。とは言うものの、オリジナルの部品はドームと衝突防止のガードしかない…

さて、これで水中でのテストになります。

0 件のコメント:

コメントを投稿