2014年5月16日金曜日

ダイビング仏門

2014年5月16日
伊豆半島赤沢
水温17度
透視度8m前後

 
この貝は「ウスカワイトカケ」と言って、貝に南梅干し、いやミナミウメボシイソギンチャクというイソギンチャクを”背負っている”貝だ。
生態学の水槽実験によると、この白くて1センチほどしかない貝が、口を使ってミナミウメボシを貝に乗せるんだそうだ。
 何のために?
さらに水槽実験によると「食う」ためだという。
イソギンチャクと言う生物は、分裂して増える事ができるので、喰っても喰っても背中の食糧は減らない、という算段になる。
もはや食料を探す必要さえない。無限食料だ。
 
こんな小さな貝が、無限の食慮を求めて最初のミナミウメボシイソギンチャクを背中に乗せるのかと思うと、ちょっと怖い。
人間て、どれだけダメな生物なんだろうか?とか思ってしまう。
 
しかしこの貝。滅多に出会えない。
海底を目を皿の様にして覗きこんで、1時間泳いだとしても見つからないだろう。
ガイドをしていて思うのは、「求める物は見つからない」だ。
ウスカワイトカケが見たいっ!!と思ってダイビングしても、99%見つからない。
でも、ただの移動で泳いでいる時に、何気なく視界の端に白い貝が目について、「あ、これウスカワじゃん」という事が起こる。
求めていないのに、見えるの。
ほんと不思議。
 
この貝じゃなくても、何かを見よう、探そう!と思っていると、すぐそばにあるはずの面白い出来事を見ていないという現象は常に起こる。
ほんと、欲求と言うのは邪魔だ。
ホント言うと、全ての欲求を捨てて、ただ思うがままにガイドできたらと思うのだけど。
やっぱさすがに軽くても事前に組立はするもんで、あれ見せたいな、これ喜ぶかな?とか潜る前に考える。
それを完全にトレースする訳ではないのだけど、そう組み立てている時点で欲求があるんだろうな。
あんまり考え過ぎると面白くなる。
 
誰か(お客様)のために面白くしようと思うと駄目なのかな?これが「良いとこ見せたい」という欲求なのか。
ダイビングガイドはまるで仏教のようだ。
全ての欲求を捨て「無」にあることが仏教の修行であるなら、似たようなもんだ。
ただ、「無」で得た喜びを、誰かに教えたい!というのも欲求のうち、これは矛盾だ。
無の喜びを誰かに教えたいと欲求したら、無じゃなくなる。。。

あ、これはゴータマさんも一緒か。
無になったのに、仏教を広める!という「欲求」を実践したんだもんね。
「いいとこ見せよう!」とゲストの心情を気にして行動するのと、「いいとこ見せよう!」と我が道を突き進んで行動する。というのは欲求の質が違うということなんだろうか?

明日は常連の若いゲストさん一人なんで、僕の無に付き合ってもらってみようかな?
 
 
 
 
 
 
 
 

2014年1月5日日曜日

名前のない?エビ


2014年1月5日 伊豆半島赤沢
水温16.5度 透視度10~15m

さすがにじりっと水温が下がってきたけど、透視度もそこそこ良いし、いい感じ。
ボートポイントでは20mくらいは見えてるんじゃないかな?
下から見上げる群れの影とか、素晴らしい!



今日はビーチを散策。
オレンジ色の物体が転がっているので、何だろう?ともって接近。
オレンジのはカイメン、だ。


海面が千切れて転がっちゃってんのかな?と思ったら貝でした。
ホンドオニヤドカリの宿になっている様子。
こんなの背負って歩いてたら目立つねぇ、とか思ってると、小さなエビが見に入る。


あーこれ、一緒に棲んでるエビだよ。
意外と綺麗ねー。でも小さいねー。
自分のカメラでは限界以下の1センチ程度のエビ。
かなり無理して頑張って証拠写真を撮ってみる。

「まだ名前のないエビPericlimenes dardanicola」なのかなと思ってたんだけど、後で写真を見て比べて見ると、どうもこのエビには派手さがない、個体差とか♂♀とかあるのかしら?
うーんよくわかんないなぁ、だって小さいんだもん。。。



カサゴのメスはお腹パンパンな個体が出始めた。
カサゴやメバルはお腹の中で卵が孵化して、数ミリの魚の形で出産するという魚。


このメスはもうはち切れそうな感じで、あまり泳がなかったからこの後夕方にでも出産したのかもしれないな。
今度はもう少し粘ってみたら、面白いシーンに遭遇するかもしれない。
冬のお楽しみですな。
 
 

2013年12月20日金曜日

水中クリスマス、そしてワカメの種付け


 2013年12月20日
最近のダイビングポイントでは、12月になると水中にクリスマスツリーを設置するところが多くなった。水温が下がって来てピークシーズンも終わりという12月のころにきてグッと盛り上がるイベントだ。
クリスマスツリーなんて街には溢れてるし、なんてことないようにも思えるのだけど、海の中で見るとなぜか一味違って見える。
海の上に浮いている船はなんとも思わないのに、沈没船になっていると「おおっ」っと思う様な感覚だろうか、ちょっと不思議だけど陸とは一味違うんだ。

中でも伊豆海洋公園のクリスマスツリーは水深20mに設置されていて、高さも数mあるので迫力がある、白い砂地にツリーだけたたずんでいるのを見るのも面白い。



ダイビングガイドやインストラクターもサンタやトナカイのカッコをして潜ったりするので、否が応でもクリスマス気分になる。
クリスマスとは関係なく潜りに行ってもクリスマスに巻き込まれる。
写真は水中のポストへクリスマスカードを投函するダイバー。
伊豆海洋公園の料金後納印が押されていて、ちゃんと海洋公園から出された感が出るようになっている。もちろんハガキにメッセージを書いた後はパウチで防水しての投函。




さて、こちらは来年の春へ向けてのイベント。
富戸のダイビングポイントでは、「ワカメの種付け」というのを始めた。
ワカメの胞子がついた紐を、水中に設置された養殖ロープにくくりつけると…
来年の春には見事なワカメが育つというもの。
胞子の付いた紐は1本100円で購入できる。



紐には自分の名札をくっつけて、後から「自分のワカメはどうなったかなぁ~」と追跡観察ができるようになってる。
3月にはもう立派なワカメになってるだろう、100日で1mに育つとしても、1日1センチは伸びると言う計算になる。
ホントかな?見守っていきたいな。






2013年12月3日火曜日

冬は光のシャンデリア



2013年12月2日 伊豆半島赤沢
水温17.8度 透視度10m前後

週末の東京から戻って久々の伊豆の海。
伊豆、寒いなぁ。...
コンクリートとアスファルトの世界の方が暖かいみたい、本物の土と木々の世界はしんと冷える…
覚悟して潜った3日ぶりの海だったけど、それほど水温も下がってないみたいで一安心。

 透視度急上昇!とはいかなかったけど、相変わらず午後の斜光は綺麗でマイブーム。
午後になってオキタナゴの群れが何だか盛り上がっていたので、群れと斜光。
変幻自在に変わってゆく太陽のシャンデリアを眺めて、あー今ここに群れ通らないかなぁーと眺め続けても面白いかもしれない。
 


後ろ姿の彼はダイビング講習中。
あまりにも光が綺麗だったので、「あの中を泳げ!」と合図してモデルしてもらった。
めちゃくちゃカッコ良かったので沢山撮ったのだけど、ピースしてる写真はなしにして、サッパリと後ろ姿で。
眺めてる感はあるでしょ?

冬は日が落ちるのが早くて、海の中も暗くなるのが早いんだけど、ちょっと見方を変えると楽しい事もあるもんだ。
夏じゃこんな太陽のシャンデリアを見るには午後6時?7時?
とっくにダイビング制限時間は過ぎていて潜れない。
これは冬ならでは!なのだ。

 
あ、こないだアオヤガラの干物を食べた。
地元の魚屋にたまーに売っているんだけど、さっぱり白身で結構うまいんだなぁ、これが。
売ってたら速買い!
まぁるくぺろぺろキャンディー風になってて、長い頭がついているところが面白くてお気に入り。
ちなみにこのサイズで280円也。

ヤガラはアオヤガラよりもアカヤガラの方が高級品で、メートル近くになるようなサイズで獲れたてだと3000円以上もする。
捌いてみると、意外と内臓の収まる部分が大きく、長さの割に身が少ないって事になってしまう。やたらと長い口にも何の肉も無いので、むむむ。高級な魚だよ。
 
魚屋では、どうも鮮魚として残っちゃうんじゃないか的になってくると干物にして売るらしい。
なので魚屋でヤガラの鮮魚が売っているのを見たら2日後くらいに狙いに行く。
と思いつつ、狙いが当たったことはない・・・
鍋物の季節。ヤガラは売れちゃうんじゃないかなぁ。
うまいもん!
 

なかなか手の出ない高級魚なんである。

2013年9月17日火曜日

8月の伊豆高原(1)





なんか最近フェイスブックでの投稿のほうが多くて、すっかりブログはご無沙汰になってしまった。
とは言いつつ、フェイスブックは1枚の写真と短い情報しか載せないので、正直欲求不満がたまってきたような気がする。
こっちのブログの方は好きな事かいちゃおっかなー。的な雰囲気で。

この夏は伊豆高原のダイビングポイントを結構まんべんなく潜った様な感じだ。
川奈、富戸、海洋公園、八幡野、赤沢。
どのポイントも特徴があって面白いから行く海に迷ってしまう。

八幡野では前の島に上陸してジャケ写的撮影をするのがブームになった(笑)
色々試行錯誤をし、遠近感を表現した配置とよくあるジャケット写真的な誰もカメラを向いていない方式、そして無理やりモノクロにすることで4000年前の溶岩流によってできた柱状節理の六角感にリスペクト。
言っててよくわかんないけど写真には海猿と綾波レイが混ざってる。
アクアティック・プロのダイバーのコスプレ率はなぜか高い。



前の島から飛びこむシーンも面白い。
かっこよく飛びこめばそれはそれで面白いけど、それほでもねーなって場合には思い切って加工しよう。
こちらはi podのCM風。
ここまでぶっ飛ばせばまるで演出したかのようでしょ(笑)




川奈はやはりカメだろうか。
去年から棲み付いて名前もついているというアオウミガメは人間を怖がる様子も無く自由ガメである。
ダイバーも、むやみに触ったり追いかけたりしないようにしているというのも効果があるんだろう。
最近は「カメを見て嬉しい」というよりも、ダイバーの意見が一致して皆マナー守ってるのかなぁ、って。カメを見てなんかやさしい気持ちになるようになった。
このカメがずっと川奈に居続ける事はないだろうけど、ダイバーの気持ちが一致するっていうのはずっと続くといいね。





そういや川奈はクラゲが多かったなぁ
櫛クラゲがいっぱいいた時は驚いた。
波打ち際でフィンを履こうとしたらさ、なんかヌルっとして違和感あるんだもん。フィンのフットポケットが全部クラゲなの!いやまわりも全部っ!
表層50センチがゼリーみたいだったんだもん、すごいよね。
 櫛クラゲは刺さないクラゲだから安心してゼリーを堪能。
写真にはうまく表現できなかったけど・・・

ハナガサクラゲに会えたのも川奈。
クラゲは漂う生物だから見たいと思っても出会えるもんじゃない。
だからこそ会えるとうれしいなぁー、ワクワク感のある生物だね。


富戸の夏の風景と言えば、桟橋から飛びこむ子供達だ。
地元の子供達は狂ったように何回も何回も飛びこみ続ける。
見慣れた人には、「あー夏だねぇ」位にしか思わないんだけど、実は大人でもした事無い人は多いらしく、飛び込みたいらしいことが判明(笑)

じゃー飛んでもらいましょう!てんで、今年はいろんな方に飛んでもらいました。
上の写真は大学生。
どうせ飛ぶんなら夏らしくしようよってんで結構演技指導して、「キャっ(キラキラ)」的にぶっ飛んでもらいました。たぶんテイク5くらいの写真。。。
イメージ的には「あまんちゅ」。「あまちゃん」じゃないです。この辺こだわりアリ。
ちなみに「あまんちゅ」の舞台は伊東市なのでアニメ化されたら面白いかなぁ、なんて思うんですけどね。。。
気になるひとは検索してみてください。



 都会の子供たちにも飛んでもらいましたよ。
この姉妹は2年前には怖くてあんまり泳がなかったくらいなのに、もはや桟橋飛びこみ隊です。
「鼻に水がはいるぅ~~~」とか言ってたけど、来年はそんな事も言わずにアホみたいに飛び続けるんだろうなぁ


「こんくらい弾けて飛びましょう」という先生のお手本。
デジタルカメラのタイムラグ、そしてモデルとカメラマンの意思疎通不一致に打ち勝ち、空中でのポーズを完璧に写真に収めるコツは、「ポーズのまま落ち続ける事」。それなら多少タイミングがずれても問題ありません。
ということでとのままのポーズで水面に突入することになるので結構痛かったりします。
多少の痛みを恐れては良い作品はできません。



そして今年の夏は穏やかな日が続き、富戸ホールに入れる日が多かった。
少しでも波があると洗濯機のように揺れてしまって入れない富戸ホール。
ベテランダイバーでも入った事無い、と言う人もいるくらいだ。
天井の穴から差し込む光の筋は、そりゃ綺麗だ。



神様が降りて来るように。撮る事もできる。
いや正直、そう仕向けないとこうは撮れない。
ちょっとコツがあるんだねぇ…


あれ。あんまり生物のお話してないな。。。
まいっか、IOPと赤沢などは、また今度。



2013年7月25日木曜日

育メンの季節


2013年7月25日 伊豆半島赤沢
晴れ 気温27度 水温18度~24度 透視度10~15m

 
 表層は24度ほどと暖かだ、水深5m程度まではぬるま湯の様(本人の感想です)。今日は20m以深では18度ほどの冷たい水があるけど、キッチリ層になって分かれている感じじゃなかった。
なので透視度も温度もゆるーっと変化する。ゆるい海。
ウネリもなく、東伊豆は週末に向けて絶好調だね。
TOP写真は一般的にはウケないかもしれないんだけど僕的には「これ見ないでどうするの」という海中の風景。「アヤニシキの草原」

一面の淡い紫の海藻はちょっと海のイメージを覆す感じ。
 

サザエに産み付けられた卵を守るニジギンポの雄
お腹に卵を抱えて守るノコギリヨウジの雄


しかし浅瀬じゃ産卵オンパレードだ。あっちこっちでソラスズメダイが懸命に巣作り&卵を守り、ニジギンポもサザエの中の卵を警備中。ノコギリヨウジのお父さんも卵を抱いて子守中。クロホシイシモチだって飲まず食わずで卵を咥えて育てるし。魚の世界は育メンが多いな。










写真は赤沢のNEWポイント「赤窪ジオサイト」の裏にある窪み。
僕は密かにこの窪みの中でボーっと過ごすのが好きだ。赤窪火山の斜め溶岩流に沿って斜め窪みが出来てるんだけど、ちょっとぐぐっと体を入れて中から外を見るの。そうすると海の青が際立つんだよね、窪みの狭さも落ち着く感じで、変態街道まっしぐら的な場所。

づけて「裏赤窪み」?(笑)

この時はやたらとフグの仲間のキタマクラが目立った。
キタマクラも恋のシーズンで、メスの獲得バトルが繰り広げられてる。
青い光を眺めてボーっとする僕の目の前で、2匹のオスが1匹のメスを奪い合っている様に見えた。オスはお腹をサイケデリックなブルーにして猛アピール。メスは間に挟まれて…

河合奈保子の「けんかをやめて」が頭の中でリピートする2013年の夏の海。あの頃の刷り込みは30年経っても消えないらしい・・・






2013年7月21日日曜日

電車も海も夏模様

穏やかな7月21日。
表層の水温は24度を超えてただろう。すでに温い。
20mを超えて深いと18度と冷たい水があるのだけど、暑さでだれた体にはいい環境だね。


伊豆急行も夏模様。
アイスのガリガリ君が中刷りから何から何まで全てジャックするという電車がある。車内だけだなくボディーにもガリガリ君伊豆の海バージョンだ。
車内でガリガリ君を販売したら凄いのにねとおいう意見をよそに、売られてはいない(笑)

海の中の生物もにわかに夏模様。
黒地に金色のストライプは、「オオクチイシナギ」の幼魚。
大人は水深400mに棲み、体長2mで250キロだそうだ。子供の時だけ赤沢にやってくるようで、近くても他の場所で噂は聞かない。
ほんの1キロ離れただけで、まったく棲んでいる生物が違うと言うのが伊豆の特徴だろう。
ほんと、伊豆の海は季節をとらえるのに忙しい・・・(笑)


今日はキンメモドキが凄いよ、てんで富戸に行ってみた。
確かに、すごい!
キンメモドキの群れの密集度は見応えがあるね。あちこちに群れがいるので、フォーメーション組んでひとまとめにしてみようと思ったけど、撃沈だった。
コントロール不可能っ!
と、あきらめると一緒になっていたりして・・・





夏だなと感じるシーンは色々あるのだけど、僕的にはこれがいいな。
ミノカサゴのオスが、お腹に卵パンパンにしたメスを追いかけてるの。
産むときに放精しようと追いかけてるんだろうけど、これがまた徹底的でほとんどストーカー。
他のオスが来たらもう、ぶっ飛んで追っ払うわけ。
根性あるよねぇ。ほんと。
なんか見習うとこあるような気もするけど、今の人間の世界なら捕まっちゃうなぁ…