2026年5月26日火曜日

『ヒラメキを待つ・クダクラゲ』水中映像(伊豆)



クダクラゲ
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【クダクラゲの詳細情報・サンプル映像はこちら】

 https://www.azarasi.jp/details/kudakurage.html

 

海の中には、実に不思議な生物がたくさんいる。
そして時には、そんな“不思議生物たち”が、まるで団体旅行のように一斉に現れることがある。

 

潮流や風の影響なのだろう。
普段は外洋の、やや深い場所に棲んでいるはずの方々が、ふらりと浅瀬へやってくる。

 

そんな海に出会えたら、もう完全に“当たり”だ。
「こりゃぁ、ヤベェぞぉ〜!」と興奮しながら、夢中で撮影しまくる。
もっとも、大概の場合、それが何なのかは分からないまま撮っている。 

 

とりあえず、種類や名前は後回し。
気になった物体は片っ端から撮影。
同じものを何度撮っているかなんて考えない。

 

浅瀬であることをいいことに、長時間かけて撮影していると、後日、本当に「ヤベェ」状態がやってくる。
――撮ったものが、何なのか分からないのである。

 

クラゲやサルパの仲間は、魚類のように豊富な資料があるわけではない。
そのため、いわゆる「沼」にハマる。

散々調べて諦め、しばらくしてまた調べ直し、
「あれ……この資料、前にも読んだな……」
みたいなことを延々と繰り返す。

 

本当にわからなければ一旦諦めて放置するのだけれど、ある時ふっと、「あれ? そういえば、あの分からなかったやつって……」
という、ヒントのようなヒラメきが降ってくることがある。

 

知っていることを思い出すわけではなく、ヒント的なものが突然に来るのは何故なのか、自分でもよく分からない。
しかも、調べている時ではなく、全然別のことをしている時にヒラメくことが多い。

 

実に不思議な話だけれど、割とよくある。
だから最近では、無理をして答えを探し回るより、諦めて置いとくらいでもいいのかなぁ……などと思ったりもする。

2026年5月18日月曜日

『14年の沈黙・ヒメイカの交接|水中映像(伊豆)』



ヒメイカの交接

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ヒメイカが向かい合って交接し、それもダイバーの手のひらにくっついたまま行われる――。


そんな奇跡のような場面を撮影したのは、もう14年も前、2012年のことだ。
まとめずに、放置された、いわゆる“塩漬け映像”である。

実は、この時にヒメイカがとまった手は、体験ダイビングの参加者の手だ。
水深4〜5mほどの砂地で遊んでいると、ふわ〜っと漂ってきた小さなヒメイカ――恐らく、交接したまま漂っていたのだろう。
それが、体験ダイバー君が思わず差し出した手にぴたりと付着し、そのまま交接を続けたのである。

突然の出来事に、かなり不意を突かれたことは間違いない。
映像には、「これはすごいなー……」というような、思わず漏れた私の声も記録されている。

一方、体験ダイバー君のほうは、何が起きているのか理解できていなかったらしい。
「何か生き物が手に付いた」ということまではわかったものの、それが何なのかはわからず。
ただ、私の様子が尋常ではなかったため、親指固めをされたままフリーズしていたらしい(笑)。

後に本人は、
「何かわからなかったけど、“凄いらしい”オーラが大西さんから出ていた」と、笑いながら話していた。

彼はかなり落ち着いた優秀な体験ダイバーだったので、もっと追跡して撮影を続けることもできたかもしれなかったけれど、その時はしなかった。
「また、そのうち撮れるだろう」と思っていたからだ。

しかし、それから14年。
まだ一度も、ヒメイカの交接シーンに再会できていない。

この映像が長く“塩漬け映像”になっていたのには、もう一つ理由がある。
近年、ヒメイカ類に新種の ツノヒメイカ が加わったことで、それまで「ヒメイカ」としてまとめていた映像を見返す必要が出てきたのだ。

確認してみると、なんと――「ヒメイカ」だと思っていた映像は、ほとんどがツノヒメイカっぽい、という衝撃が走る。
つまり、“本当のヒメイカ”の映像は、この交接シーンだけになってしまった。

ヒメイカだと思っていた生物が、全部ツノヒメイカになったことで、残されたヒメイカ映像を14年目にしてまとめる、ということになった。
……というより、そうなってしまった。

そんなことをしていると、ふと目の前に、またヒメイカの交接が現れそうな気がする。
そんな期待を、少なからず抱いている。

2026年4月30日木曜日

『深海のオーパーツ・ネジレカラマツ|水中映像(伊豆)』



螺旋で水中の抵抗を分散するネジレカラマツ

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 ネジレカラマツは、なぜ螺旋をしているのか。
そう思って調べてみると、関連する研究論文はいくつか見つかる。

「螺旋構造が水流の抵抗を分散する」といった説明が多く、なるほど、とは思う。
けれど、激しい流れが螺旋に当たって、なぜそれで“分散される”のか。
どうにも腑に落ちない、どこかモヤモヤした感覚が残っていた。

そんなあるとき、ふと何年も前の記憶がよみがえった。
自宅前で電線工事が行われていたときのことだ。
高所作業車に乗った作業員が、電線にゆるい螺旋状のケーブルのようなものを取り付けていた。

あんまりにも緩いので不思議に思い、地上にいた監督らしき人に「あのネジネジは何すか?」と尋ねると、「あれを付けておくと、強風が吹いても切れにくくなるんですよ」と教えてくれた。

――ネジレカラマツの螺旋と、あの電線のネジネジ。
狙ってる効果、一緒じゃない??

そう思って調べてみると、一本の電線は、微風でも強風でも意外なほど振動しやすく、それが繰り返されることで、最終的には根元が疲労して断線してしまうのだという。

ダイビング中に長い棒を勢いよく振ると、「ブルブルブルッ」と震える。
あの現象と同じだ。

ところが、その1本の電線に沿わせて螺旋状の部材を取り付けると、風による振動が抑えられ、断線しにくくなるらしい。

この螺旋の効果は、およそ70年前にイギリスで考案された技術で、巨大な煙突が風で振動し、疲労がたまって折れてしまうという現象をを防ぐためのものだったという。

一方、ネジレカラマツの祖先は、3億年から数千万年前には現れていたとされるので、同じ原理だとすれば、ネジレカラマツの方がずいぶんと先取りしていたことになる。

あぁ、これでスッキリ
かと思いきや、海の中を見渡すと、“ムチ”カラマツは“まっすぐ”な一本の姿をしている。
しかも、むしろネジレカラマツより数が多い。

一本の形にも、それはそれで効率がある――と説明されるが、
正直なところ、まだ納得しきれていない。

激しい流れの中では、完全に横にしなることで力を逃がしているのだろうか。
そういえば、釣り竿は折れにくいな。

――まあ、そのうちまた、何かひらめくかもしれない。

2026年4月24日金曜日

『漬け置かれる生物たち・ウスバハギ若魚|水中映像(伊豆)』



ウスバハギ幼魚のベイツ型擬態
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【ソウシハギに化ける?ウスバハギの詳細情報・サンプル映像はこちら】
https://www.azarasi.jp/details/usubahagi-yg.html
 
 ウスバハギがソウシハギにベイツ型擬態しているんじゃないか?なんて、撮っているときはまったく思っていない。

晴れた日の水面スレスレで、明るすぎてファインダーもよく見えず、「あれ?どこいった??」というくらいなもので、模様の変化なんて気づくはずもなく、その日たくさんいたソウシハギの一部、という感じだった。

撮影した映像は、「撮れてたかな?」くらいだけチラ見して、日付ごとのフォルダに入れる。
しばらくすると、ちゃんと見て種類分けして、「仮倉庫」と呼んでいるフォルダに移動させる。

仮倉庫は、まだ整理されていない生物たちがウゴめいている場所で、
以前の映像と組み合わせたり、新しく編集されたりしたものだけが「分類リスト」に昇格して、ようやく整理された状態になる。

今回の若いウスバハギも、種類分けのときに「あぁなんか違うな」と感じて、「ウスバハギ?」とハテナ付きで仮倉庫送りしたものだった。

それを思い出したのは、ウスバハギ成魚のページを整理していたとき。
「あぁそういえば“ウスバハギ?”ってあったな」と見返してみると、あまりにも成魚と違う。

本当にウスバハギなのか?と疑いながら何度も見ているうちに――

「あれ、この模様、浮き出てるな」

となったやつだ。

仮倉庫にはかなりの数の生物が溜まっていて、もう何がいるのかよくわからないくらいだ。
ただ、どうも不思議なことに、撮ってすぐ調べるより、しばらく放置してから見直した方が、こういう違和感や発見には気づきやすい気がする。

そう、その方がいいんだ。
現状のペースが急に上がることなんてまずないし、だったらこのやり方にも意味があるんだ!と、そう思うことにする。

もしかして、これが沼というやつなのか……?

2026年4月17日金曜日

『未成年地元詐欺・マアジ|水中映像(伊豆)』

 

マアジ

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【マアジの詳細情報とサンプル映像のページはこちら】

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 マアジは、魚の定番だ。
鮮魚店の店先にはいつでも並び、海の中の絵を描けば、誰もが“マアジ的な魚の群れ”を思い浮かべるだろう。
しかし意外なことに、実際の海の中で出会う機会は、そう多くはない。

秋の気配すら感じられない、猛暑の9月。
堤防の先端でメアジの機関銃のような突進を浴びているとき、ふと視界の端に、消波ブロックの表面をゆったりと泳ぐマアジの群れがいた。

そのときは、猛スピードでトリッキーな動きをするのもマアジだと思っていたので、
居なくなってしまいそうな、動きの激しい方に優先順位がついて、穏やかに泳ぐマアジたちは、その後撮れるだろ的な「その次か、またその次」という扱いになった。

この“まったりした地元感”には、注意が必要だ。
「ずーっと、いつでも居ますよ」とでも言いたげな空気をまとったその姿は、いわば“地元詐欺”。
その油断を突かれて、“録画ボタンを押さない”という被害に、何度も遭いがちだ。

彼らは、決して“ずっと居る魚”ではない。

アジの干物、アジフライ、唐揚げ、塩焼き、刺身、なめろう、そしてサンガ焼き――。
あまりにも当たり前に食卓に並ぶその存在が彼らの手口である。
保冷技術と輸送網を発達させた人類も、ある意味共犯だ。

日本人に「当たり前」を刷り込むのは、縄文時代から周到に練られてきた壮大な計画らしいが、
マアジは1年でおよそ18センチ、2年で24センチ前後となって性成熟に達するとされているので、映像に映っている実行犯のマアジ達は、1歳未満の未成熟だ。
しかたがない、許してやる。

2026年4月12日日曜日

『幸運の電気ショック・シビレエイ|水中映像(伊豆)』

シビレエイ

【シビレエイの解説・サンプルムービーのページはこちら】

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随分前に、奥さんと一緒に潜っていた時に、このエイに出会った。
特に目立つものの無い砂の斜面で、ふと横にいる奥さんを見た時、ものすごい勢いで手を引っ込めた。
「うわっ!」という声が聞こえそうなくらいのアクションで、目は驚きで見開いている。

砂に手を突っ込んで、ブンブクの鋭い棘にでも刺さったのかと思ったが、砂の中からシビレエイが出てきたので納得だった。
シビレエイは電気を発電して、砂の中の動物にショックを与えて捕食したり、外敵から逃げる際の攻撃として使うからだ。

とは言うものの、自分で電気ショックを受けたことは無かったし、誰かの感想を聞いたことも無かったので、シビレエイが砂の中からムクムクと出てきたときは、「あー、なるほどね」と、とても納得だった。
後から聞くと、「バンッ!」とか「ビシッ!」というような、エレベーターのボタンに触れる時の静電気のような指先の感触だったらしい。

シビレエイの電力は、電池のように貯めたものを使うのではなく、発電細胞から一発でドンっと発電するらしい。
生まれたての小さなシビレエイにも発電能力はあるらしいが、発電細胞が少ないため弱く、成長と共に強くなるという。
そう考えると、凄く大きなシビレエイは、かなりのショックなのかもしれない。

注意しようにも、砂に隠れたシビレエイは、よほど慣れていないと見つからない。
それほど沢山いる生物でもないし、危険な外敵だと思わなければ、電気ショックの引き金は引かないので、見つけたシビレエイをつついたとしても、必ずビシッと来るとは限らないのだ。
偶然でバシッときたら、もはや幸運だと思うべきだろう。

砂の中に棲む生物が好きなので、自分では、海底の砂を常にホジホジしている方だと思う。
通算数千ホジホジにはなるはずだが、夫に幸運はまだ訪れていない。

2026年4月1日水曜日

『面倒な魚・メアジ|水中映像(伊豆)』



メアジ
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 秋の気配がまだ漂わない、猛暑の9月。
知り合いのダイビングガイドから「堤防の先の方へ行くと群れが凄いよ」と教えてもらった。

いそいそと堤防沿いを泳いでいくと、先端に近づくにつれて魚影が濃くなっていく。
カマスの大群はまったりと徘徊するように浮遊し、ハタンポは消波ブロックにまとわりつく影のように群れている。

なんだこれ、凄いな――。
そう思いながら遠くに目をやると、銀色の群れが物凄い勢いで泳いでいる。
カンパチやカツオ的な大型魚に追われているようだ。

と思った次の瞬間、銀の大群がこちらへ向かってきて、自分たちの周りをすり抜けていった。
まるで機関銃で総攻撃されたかのような、突き刺さりそうな速度だった。

アジであることは間違いなさそうだが、あまりの速さに魚体の細部は見えない。
マアジなのか?でも、目の前にはゆったりと泳ぐマアジがおり、同じ魚とは思えない。
もしかしてメアジ?クロアジタイプのマアジってやつかな?などと思いつつも、あんなスピードの魚をビデオに収めるのは無理だなと諦めていた。

それにしても群れが凄いので、その後何度か通ってみると、少しだけ動きが緩む場面に出会った。
録画ボタンを押し、画面越しに追うものの――どうにも撮りづらい。

群れごとターンを頻繁に繰り返し、動きに合わせて追っているつもりでも、思った方向とは違う方へ流れていく。
「あー!めんどくさいな、こいつ」
思わず水中で文句を言う。

後で再生してみると、やはりメアジのようだ。
といっても、手に取って見ているわけではないので、真横を向いたシーンでコマ送り、コマ送り……。
メアジとマアジはよく似ている。
マルアジもよく似ている。
画面に物差しを当てて、頭の大きさなどを確かめてみたり。

めんどくさいな、メアジ!

もう、撮るのも見るのも面倒なのが「メアジ」となった。
メアジのメは、面倒のメだ!。