2026年4月24日金曜日

『漬け置かれる生物たち・ウスバハギ若魚|水中映像(伊豆)』



ウスバハギ幼魚のベイツ型擬態
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【ソウシハギに化ける?ウスバハギの詳細情報・サンプル映像はこちら】
https://www.azarasi.jp/details/usubahagi-yg.html
 
 ウスバハギがソウシハギにベイツ型擬態しているんじゃないか?なんて、撮っているときはまったく思っていない。

晴れた日の水面スレスレで、明るすぎてファインダーもよく見えず、「あれ?どこいった??」というくらいなもので、模様の変化なんて気づくはずもなく、その日たくさんいたソウシハギの一部、という感じだった。

撮影した映像は、「撮れてたかな?」くらいだけチラ見して、日付ごとのフォルダに入れる。
しばらくすると、ちゃんと見て種類分けして、「仮倉庫」と呼んでいるフォルダに移動させる。

仮倉庫は、まだ整理されていない生物たちがウゴめいている場所で、
以前の映像と組み合わせたり、新しく編集されたりしたものだけが「分類リスト」に昇格して、ようやく整理された状態になる。

今回の若いウスバハギも、種類分けのときに「あぁなんか違うな」と感じて、「ウスバハギ?」とハテナ付きで仮倉庫送りしたものだった。

それを思い出したのは、ウスバハギ成魚のページを整理していたとき。
「あぁそういえば“ウスバハギ?”ってあったな」と見返してみると、あまりにも成魚と違う。

本当にウスバハギなのか?と疑いながら何度も見ているうちに――

「あれ、この模様、浮き出てるな」

となったやつだ。

仮倉庫にはかなりの数の生物が溜まっていて、もう何がいるのかよくわからないくらいだ。
ただ、どうも不思議なことに、撮ってすぐ調べるより、しばらく放置してから見直した方が、こういう違和感や発見には気づきやすい気がする。

そう、その方がいいんだ。
現状のペースが急に上がることなんてまずないし、だったらこのやり方にも意味があるんだ!と、そう思うことにする。

もしかして、これが沼というやつなのか……?

2026年4月17日金曜日

『未成年地元詐欺・マアジ|水中映像(伊豆)』

 

マアジ

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【マアジの詳細情報とサンプル映像のページはこちら】

 https://www.azarasi.jp/details/maaji.html


 マアジは、魚の定番だ。
鮮魚店の店先にはいつでも並び、海の中の絵を描けば、誰もが“マアジ的な魚の群れ”を思い浮かべるだろう。
しかし意外なことに、実際の海の中で出会う機会は、そう多くはない。

秋の気配すら感じられない、猛暑の9月。
堤防の先端でメアジの機関銃のような突進を浴びているとき、ふと視界の端に、消波ブロックの表面をゆったりと泳ぐマアジの群れがいた。

そのときは、猛スピードでトリッキーな動きをするのもマアジだと思っていたので、
居なくなってしまいそうな、動きの激しい方に優先順位がついて、穏やかに泳ぐマアジたちは、その後撮れるだろ的な「その次か、またその次」という扱いになった。

この“まったりした地元感”には、注意が必要だ。
「ずーっと、いつでも居ますよ」とでも言いたげな空気をまとったその姿は、いわば“地元詐欺”。
その油断を突かれて、“録画ボタンを押さない”という被害に、何度も遭いがちだ。

彼らは、決して“ずっと居る魚”ではない。

アジの干物、アジフライ、唐揚げ、塩焼き、刺身、なめろう、そしてサンガ焼き――。
あまりにも当たり前に食卓に並ぶその存在が彼らの手口である。
保冷技術と輸送網を発達させた人類も、ある意味共犯だ。

日本人に「当たり前」を刷り込むのは、縄文時代から周到に練られてきた壮大な計画らしいが、
マアジは1年でおよそ18センチ、2年で24センチ前後となって性成熟に達するとされているので、映像に映っている実行犯のマアジ達は、1歳未満の未成熟だ。
しかたがない、許してやる。

2026年4月12日日曜日

『幸運の電気ショック・シビレエイ|水中映像(伊豆)』

シビレエイ

【シビレエイの解説・サンプルムービーのページはこちら】

 https://www.azarasi.jp/details/sibireei.html


随分前に、奥さんと一緒に潜っていた時に、このエイに出会った。
特に目立つものの無い砂の斜面で、ふと横にいる奥さんを見た時、ものすごい勢いで手を引っ込めた。
「うわっ!」という声が聞こえそうなくらいのアクションで、目は驚きで見開いている。

砂に手を突っ込んで、ブンブクの鋭い棘にでも刺さったのかと思ったが、砂の中からシビレエイが出てきたので納得だった。
シビレエイは電気を発電して、砂の中の動物にショックを与えて捕食したり、外敵から逃げる際の攻撃として使うからだ。

とは言うものの、自分で電気ショックを受けたことは無かったし、誰かの感想を聞いたことも無かったので、シビレエイが砂の中からムクムクと出てきたときは、「あー、なるほどね」と、とても納得だった。
後から聞くと、「バンッ!」とか「ビシッ!」というような、エレベーターのボタンに触れる時の静電気のような指先の感触だったらしい。

シビレエイの電力は、電池のように貯めたものを使うのではなく、発電細胞から一発でドンっと発電するらしい。
生まれたての小さなシビレエイにも発電能力はあるらしいが、発電細胞が少ないため弱く、成長と共に強くなるという。
そう考えると、凄く大きなシビレエイは、かなりのショックなのかもしれない。

注意しようにも、砂に隠れたシビレエイは、よほど慣れていないと見つからない。
それほど沢山いる生物でもないし、危険な外敵だと思わなければ、電気ショックの引き金は引かないので、見つけたシビレエイをつついたとしても、必ずビシッと来るとは限らないのだ。
偶然でバシッときたら、もはや幸運だと思うべきだろう。

砂の中に棲む生物が好きなので、自分では、海底の砂を常にホジホジしている方だと思う。
通算数千ホジホジにはなるはずだが、夫に幸運はまだ訪れていない。

2026年4月1日水曜日

『面倒な魚・メアジ|水中映像(伊豆)』



メアジ
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【メアジの詳細情報・サンプル動画ページはこちら】
 
 秋の気配がまだ漂わない、猛暑の9月。
知り合いのダイビングガイドから「堤防の先の方へ行くと群れが凄いよ」と教えてもらった。

いそいそと堤防沿いを泳いでいくと、先端に近づくにつれて魚影が濃くなっていく。
カマスの大群はまったりと徘徊するように浮遊し、ハタンポは消波ブロックにまとわりつく影のように群れている。

なんだこれ、凄いな――。
そう思いながら遠くに目をやると、銀色の群れが物凄い勢いで泳いでいる。
カンパチやカツオ的な大型魚に追われているようだ。

と思った次の瞬間、銀の大群がこちらへ向かってきて、自分たちの周りをすり抜けていった。
まるで機関銃で総攻撃されたかのような、突き刺さりそうな速度だった。

アジであることは間違いなさそうだが、あまりの速さに魚体の細部は見えない。
マアジなのか?でも、目の前にはゆったりと泳ぐマアジがおり、同じ魚とは思えない。
もしかしてメアジ?クロアジタイプのマアジってやつかな?などと思いつつも、あんなスピードの魚をビデオに収めるのは無理だなと諦めていた。

それにしても群れが凄いので、その後何度か通ってみると、少しだけ動きが緩む場面に出会った。
録画ボタンを押し、画面越しに追うものの――どうにも撮りづらい。

群れごとターンを頻繁に繰り返し、動きに合わせて追っているつもりでも、思った方向とは違う方へ流れていく。
「あー!めんどくさいな、こいつ」
思わず水中で文句を言う。

後で再生してみると、やはりメアジのようだ。
といっても、手に取って見ているわけではないので、真横を向いたシーンでコマ送り、コマ送り……。
メアジとマアジはよく似ている。
マルアジもよく似ている。
画面に物差しを当てて、頭の大きさなどを確かめてみたり。

めんどくさいな、メアジ!

もう、撮るのも見るのも面倒なのが「メアジ」となった。
メアジのメは、面倒のメだ!。

2026年3月24日火曜日

『夜中の軍隊は海へ行く・ヤリイカ|水中映像(伊豆)』



ヤリイカ
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夜中に「ザッ、ザッ、ザッ」と、家の前を軍隊が通るような音がする。

知らない人が聞いたら「えっ、何?」と驚きそうだが、本当に軍隊が通るはずもない。
正体は、釣り人が履くスパイク付き長靴の音だ。

 

すぐそばは岩の海岸――というより、ほとんど崖なのだが、釣り人には有名な場所らしい。

本格的な冬を迎える頃になると、夜の海は、まるで蛍が舞うように美しくなる。
電気で光る“浮き”が水面で揺れ、ピューッと跳ね上がったかと思うと、ビューンと沖へ走る。

どうやら、ヤリイカ釣りらしい。

 

ダイバーにとって、ヤリイカはなかなか出会えない生き物だ。

ふだんは水深100mほどの深場に生息し、産卵のために岸へ寄るのは真冬の夜だという。
これでは、まず出会わない。

その昔、先輩たちから、産卵に来るヤリイカを撮影するため、真冬の海でひたすら待ち続けたという話を何度も聞かされた。


真夜中の海中で待機し続け、トイレはもちろん我慢。

いざ「ヤリイカが来た!」となったときに限って、ライトを持った誰々がいなかった――そんな話もあった。

今のように快適に潜れる装備がなかった時代の、まさに気合と根性の世界である。
あまりに繰り返し聞かされるうちに、他の武勇伝と混ざり、いつしか自分の中では
「ヤリイカ=根性」になっていた。

 

ところが最近、定置網の中に潜れる機会を得て、思いがけず普通に出会うことができた。

初めて見る生きたヤリイカは、鮮魚店で見るよりも、ずっと“槍”らしい。
細く、鋭く、まさに名前のとおりの姿だ。

少し小ぶりで、ふっくらとした雌の個体を見るのも初めてだった。

 

前回は、生きたクロシビカマス(伊東でいうヤッパタ)の美しさに驚かされたし、さすが定置網、すばらしい。 

夜中のスパイクの音を聞いて、先輩たちの武勇伝を思い出していたけど、いともあっさり呪縛から解放されてしまった。
なんかちょっとズルをしているような気もするが――まあ、気にしないことにしよう。

2026年3月13日金曜日

『白くたなびく毒の糸・サムクラゲ|水中映像(伊豆)』



サムクラゲ
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▶ https://www.azarasi.jp/details/samukurage.html

青い海の中では白いものがとてもよく目立つ。
離れて見れば青っぽくはなるものの、周囲との明暗差があるので、「ん? なんだろう」と気づきやすい。
キヨヒメクラゲみたいに透明だと見えにくいけれど、白っぽいクラゲは意外と目立つ。

逆に赤は、海の中では黒ずんでしまう。
赤い縞々のアカクラゲは明るい場所で見れば一見派手だけれど、水中ではむしろ迷彩色だ。

このサムクラゲは、かなり白っぽい。
傘も触手も白っぽいが、中央のひらひらした部分、いわゆる口腕の部分が透明感のない白で、これがなかなか目立っていた。

最初に見たとき、このクラゲはダイビングエリアの境目を示す海底の浮きに、触手を引っ掛けた状態だった。
とにかく触手が長い。

自分のワゴン車より少し長いかと思ったので、5mほどだろうか。
もっとも、水中マスク越しに見ると物体は大きく見えるので、三割引きして4mほどといったところかもしれない。

タコ糸のように細い触手に毒の刺胞があり、獲物を麻痺させて絡めとる。
文章にすると、まるで他の惑星のモンスターだ。

触手は細いわりに意外と丈夫なようで、千切れる様子はない。
しかも「しばらくこのままでもいいか」という感じで、脱出しようという素振りもない。
なので、少しお手伝いすることにした。

少し刺激を与えれば触手は縮むはずなので、引っ掛かっている触手が縮めば外れるだろうと思い、浮きの付いたロープを軽く揺すってみる。
軽く、自分に触手が来ないように。
すると、予想通り触手は短くなりながら、するするとロープから外れていった。

解放されたサムクラゲは元気よく拍動し、どんどん水面へ上がっていく。
自分も浮上しながら、ときどき海底を見て、さっきの浮きを確認する。
クラゲは意外と速いので、夢中になって泳いでいるうちに、知らない場所へ流されてしまうこともあるからだ。
幸い、ほぼ真上に上がっていたようで、ダイビングエリアから外れてはいなかった。
もう水面。というところまで来たので、サムクラゲとは、ここでお別れにする。

文ではサムクラゲと書いているが、最初はユウレイクラゲかと思っていた。

図鑑を見てもイマイチ納得いないでいると、次のページにサムクラゲが載っていて納得の範囲に収まった。
ということでサムクラゲなのだけれど、実のとことは違いの説明が難しすぎてわからず、あまり自信はない。

ところで「サム」とは何だろう。
寒い海に棲むクラゲらしいので、「寒」なのかな。

2026年3月7日土曜日

『雨上がりの沼津で・キヨヒメクラゲ|水中映像(伊豆)』



キヨヒメクラゲ
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 撮影したのは3月の沼津・大瀬崎。
春濁りもなく、海は透き通るように青かった。だからだろうか、次から次へと妙な生物が目に入ってきて、少々困るほどだった。

このとき、キヨヒメクラゲと、後からわかる物体には二度出会っている。
一度目はユウレイクラゲに出会っている最中で、背景には恐ろしく長い触手が映っている。

意外と早く流れていく中、「私と彼女とどっちを撮るの?!」みたいな状況になったが、即決でユウレイクラゲを選択した。

浮遊している生物は表層に多いようなので、海底の水深は深くなるものの、水深5mほどの層を探索する。
いろいろなサルパに出会い、1時間ほど経ったころ、もう帰ろうかなと思ったタイミングで二個体目に出会った。もちろん、そのときは最初の生物と同じ種類だとは思っていない。

綺麗な生物だったが、透明すぎてファインダーでは見えない。
とりあえずノーファインダーで撮っておいたものだ。

そういえばこのとき、長年使っていた水中ライトがひとつ水没した。
仕方なく照明は一灯だけになってしまったのだが、そういうときに限って、照明が必要な生き物がたくさん出てくる。

RCサクセションの歌が頭の中を駆け回りそうだけれど、この日は、明け方まで土砂降りで、そのあとの雨上がりだった。
驚くほど綺麗に富士山と南アルプスが見える、気持ちのいい一日だったので、ライトが水没したことも、あまり気にならなかった。