2025年12月26日金曜日

『ゴマサバ・沿岸で育つ若魚たち|水中映像(伊豆)』



ゴマサバ水中映像
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【ゴマサバの詳しい情報&サンプル動画はこちら】

伊豆半島で初夏に現れる若いゴマサバの群れ。どうにも小さいのを、漁師は「孫サバ」と呼ぶそうだ。
 
よくよく見ると、ゴマ模様のないマサバも混ざっているようだ。ゴマサバもマサバも、暖かい海で産卵して、回遊しながら成長するので、美味しいものを求めているうちに、ある時群れが鉢合って混ざることがあるのかもしれない。 
スイミー的に混ざった魚というのはよく見かけるけど、気づいてるのかな?
 
孫サバの群れに出会う時は、水深2桁になるかどうかというところで、さらに浅瀬を背にしているという段の部分が多い気がする。ダイバーはもっと深い方を目指して行きそうだけど、意外と手前な場所だ。
 
もっと成長したサバを見ることは、ほとんど無い。
釣り人が防波堤から竿を出しているようなダイビングポイントでは、見上げるとロケット弾のようにぶっ飛ぶサバを見かけることはあるけれど、速すぎて見るというレベルではなく、ほぼ残像だ・・・
 
本格的な夏を迎えると、いつの間にかサバたちは居なくなるけど、基本的にはもっと沖合を目指して回遊するらしい。
産卵からの回遊は色々なルートがあるようで、天皇海山の水深何百メートルでの調査研究もある。水深10メートルで見た彼らが天皇海山まで行くわけではない、のだと思う。が。行くのかな?いくらなんでも遠いだろ。と、田舎の車生活であるくことが減った自分基準で考えてしまう。


2025年12月23日火曜日

『トウゴロウイワシ・水面際のトンゴロ|水中映像(伊豆)』

トウゴロウイワシ水中映像
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港の出入り口付近の水面で、逃げるでもなく移動するでもなく、たたずむような群れにであることがある。トウゴロウイワシという魚で、美味しくないらしい。 
食べたことは無いけど、見た目にもなんだか透明で"コク"が無さそうな感じだ。
 
しょっちゅう出会う群れではないのだけど、出会う時はヨロヨロと海底に落ちてゆくシーンを見かける。とんでもない数の生物が棲む海の中だけど、弱って死にゆく魚に出会うということは滅多にないことで、トウゴロウイワシが死んでゆくのをよく見るというのは不思議だ。
 
群れに、ブリやカンパチなんかの大物でも突っ込んで、怪我魚が大量発生したのかとも思ったが、浅い港の出入り口だし、大物なんてまず見かけない。
 
水温や塩分濃度の変化は大きいだろう、真水の湧く海底だし、雨でも降れば港の中の水面は真水に近くなり温度は下がる。と言っても、そんな苦しい環境がいやなら少し移動すれば済むことなんじゃないかとは思う。
 
トウゴロウイワシの寿命は2年、長くて3年だそうで、それまでに繁殖行動をして体力を使うだろうから、寿命を迎えて弱っていった個体から脱落するように落ちてゆくのだろうか。彼らには、これが日常の風景なのかな。
 
色々調べてみると、高知では素揚げのトウゴロウイワシを食べるのは普通で、「漁師だけが知る旨い魚!」として冷凍されたものが販売されている。
獲れたてをIQF凍結という、1尾づつバラで冷凍される方法だそうで、塊になっていないので小分けで素揚げにできるそうだ。
 
イワシと違って鱗が丈夫で剥がれないというのが特徴なのだけど、その鱗が素揚げで美味しいらしい。
 
たくさん海底に落ちてたの、拾えばよかったかな・・・


2025年12月16日火曜日

『シンカイウリクラゲ・狩りのトリガー|水中映像(伊豆)』

シンカイウリクラゲ
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【シンカイウリクラゲの詳細情報&サンプル動画はこちら】

12月の沼津、大瀬崎は不思議な浮遊生物が現れる季節だ。
「わーなんだこれ」と楽しいのだけど、種類を調べるのは至難の業になる。特にクラゲやサルパは魚類ほど資料が無いので難しい。
 
まずクラゲ、とか、まずサルパ、とかザックリとでも見当がつくのであれば、"図鑑ローラー作戦"や"無限画像検索"でヒットすることもあるのだけど、まったく何者なのかわからない場合は泥沼にハマらざるを得ない。
「これって、もしかしてクラゲじゃなくて貝なのかな?」とかなると、大概の場合一旦放置になる。
なぜか、数年経ったらいとも簡単に解決したということも珍しくない。
 
シンカイウリクラゲは、まず有櫛動物だったし、ウリクラゲ的なので難度は低かったけど、ウリクラゲとかアミガサクラゲとか似てるし、資料のシンカイウリクラゲの特徴とビンゴ!という感じじゃない・・・
 
個人的には「シャア専用ウリクラゲ」だな、3倍速いし。
最近の大瀬崎は不思議浮遊生物がやってきているようなので、そろそろ潜りに行ってみようかな。
泥沼にハマるのは、意外と嫌いじゃない(笑)

2025年12月11日木曜日

『ツノクラゲ・摂餌のトランスフォーム|水中映像(伊豆)』

ツノクラゲ

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「これは何という種類のクシクラゲなんだろう」と、思ってはいた。
 
複葉機のように大きな羽根を広げ、後方には釣り糸のような細い糸を曳いている。よく見ると、体のサイドから伸びた触手のような物が激しく波打っていて、もはや生物というか、帝国軍の宇宙船にしか見えない。
 
最近は調べ物が上手になって(というか分厚いクラゲの図鑑買ったから)、この物体がツノクラゲの変形バージョンだとわかった。
 
普段はウリクラゲ的なラグビーボール状なのだけど、お食事の時は宇宙船になるとな。「マジか、これがツノクラゲなのか…」と、結構衝撃だった。立ち直って、過去にツノクラゲ撮ってないかなぁ~とストックを見てみると、なんと、2020年に沢山撮ってた。撮ってたのかぁと、再び衝撃…
 
解決してよかったんだけど、少し残念なのは変形するシーンを見ていない事。なんだけど、そんなシーンを待ってたらまた5年経ってしまいそうなので、一旦区切りをつけるとする。
その方が、今週末くらいに出会えそうな気がするから。
 




『タキゲンロクダイ・偽りの眼|水中映像(伊豆)』



タキゲンロクダイ幼魚

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体の模様にある“目玉”は、ただの斑点ではなく 「ここが顔ですよ」 と示すための偽の目だと言われてる。
 
見せたい相手は、大型の捕食者。
捕食者は 「目=急所」 と理解して噛みついてくるので、本物の目は目立たないように隠し、代わりに背ビレの“目玉模様”へ噛みついていただく──そんな巧妙な作戦ということだ。
 
そう思って少し目を細めて映像を見と
 
ん~、頭には見えないけれど、目には見えるかも。
 
それよりも印象的なのは、この“いやらしい”動き。
進んでは止まり、また進み、方向を変えては止まり……。
この細かいスタート&ストップの繰り返しが、とにかく撮影しづらい。
ズームで追うとさらに難しく、ピタッと捉え続けるのは至難の業だ。
 
でも、これは偶然ではなく、どうやら 捕食者にタイミングを読ませないための戦略 なんじゃないかと思うと、とても納得できる。
 
などと言いつつ、うまく撮れていない理由を生物の生き残り戦略の素晴らしさに転嫁している。
これも戦略か。

2025年12月5日金曜日

『キツネアマダイ・幼魚の戦略|水中映像(伊豆)』


キツネアマダイ

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体の模様にある“目玉”は、ただの斑点ではなく 「ここが顔ですよ」 と示すための偽の目だと言われてる。
見せたい相手は、大型の捕食者。
 
捕食者は 「目=急所」 と理解して噛みついてくるので、本物の目は目立たないように隠し、代わりに背ビレの“目玉模様”へ噛みついていただく──そんな巧妙な作戦ということだ。
 
そう思って少し目を細めて映像を見と
ん~、頭には見えないけれど、目には見えるかも。
 
それよりも印象的なのは、この“いやらしい”動き。
進んでは止まり、また進み、方向を変えては止まり……。
この細かいスタート&ストップの繰り返しが、とにかく撮影しづらい。
ズームで追うとさらに難しく、ピタッと捉え続けるのは至難の業だ。
 
でも、これは偶然ではなく、どうやら 捕食者にタイミングを読ませないための戦略 なんじゃないかと思うと、とても納得できる。
などと言いつつ、うまく撮れていない理由を生物の生き残り戦略の素晴らしさに転嫁している。
これも戦略か。
 


2025年11月28日金曜日

『ショウサイフグ・交雑のリスク|水中映像(伊豆)』



ショウサイフグ
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このあたりのフグは難しい。
模様はバシッと一定しているわけではなく、微妙に個体差があるところが難解。見れば見るほど、調べれば調べるほどによくわからなくなるスパイラル。
 
しかも、水中映像は触れないので、「皮膚には小棘があり…」とあるところで確認できるはずもない。さらには"骨の幅"とか出てくると完全に終了モードだ。
 
まぁ映像が間違っていたとしても死ぬことはないのだけど、食べるとなると別問題。
フグは種類によって食べられる部位が決まっているので、間違えると最悪の場合サヨウナラになりかねない。
 
ショウサイフグは筋肉と精巣が〇、コモンフグは筋肉が〇で、その他は毒ということだから、ショウサイフグと間違えてコモンフグの精巣を食べるとアウトということになる。
交雑してる雑種の場合は、そのどちらでもない場合があるので全廃棄だそうだ。
 
フグの判別や調理には専門の知識が必要なので、ウェブ上の水中映像など参考にしてはいけない。

2025年11月25日火曜日

『ハタタテダイ・同種のシグナル|水中映像(伊豆)』



ハタタテダイの縞模様
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【ムレない方のハタタテダイの詳細&サンプル映像はこちら】
 
南国の魚!と思わせる白・黒・黄色の縞模様が印象的なハタタテダイ。
黄色の少ない工事現場のような縞々は、ゴンズイなどのように毒のある魚の「警告色」が有名だけど、ハタタテダイには毒は無く、仲間同士を認識するためのシグナルになっているらしい。
 
戦国時代の合戦を思わせる旗は、敵味方の識別に使われたというけれど、ハタタテダイの旗もまさに識別ということだ。
そして、派手で目立つ縞模様は海の世界では目立つわけではなく、輪郭をぼかす効果がある分断色でもあるという。
肉食魚が見た時に一瞬でも「?なんだ?」と思う隙を作れば逃げることができる。
というんだけど、仲間同士のシグナルもぼけるということにならないのかな…?
 
にしても、ムレハタタテダイと似すぎていて区別が難しい。
もしかしてと思って動画を切り抜いて背鰭の棘を数えたけど、数えられない場合はキビシイ。
出会ったら本人同士も間違えるんじゃないかと思うのだけど、ムレハタタテダイに比べるとハタタテダイはそれほど頻繁に見る魚ではないので、伊豆で対面することはない、のかな?
 

2025年11月22日土曜日

『クロシビカマス・スミヤキは黒くなかった|水中映像(伊豆)』


クロシビカマス
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詳細な解説&サンプル映像はページはこちら(分類・生態・豆知識まとめ)
 
網の下の方に細長い魚が泳いでいるので近寄ってみる。照明を当てると物凄く青い。
「え、これってもしかしてヤッパタ!?マジか、こんな色なのか!」
 
ヤッパタの本名はクロシビカマス。伊東では有名な食用魚で、美味しいけど骨の処理が面倒な魚だ。伊東ではヤッパタだけど、「スミヤキ」と呼ぶ地域もあるくらいの真っ黒な色をした深海魚で・・・ 
でも目の前のヤッパタ顔の魚は見事なほどに青銀に輝いて美しい。
 
よくわからないけど見たことのない魚だからじっくり撮影。と、何気なく水深を見たら27mと、あまりじっくりしていられない水深だった。
 
定置網に潜ってみるという企画で一般のお客様もいらしゃったのだけど、水揚げ後の網の中だったし、その日はいまいちトラップにかかってなかったということもあり、少々期待外れだったようだ。
 
でも、プロのダイバーは、"あのヤッパタ"に出会えて興奮してた。
伊東のプロダイバーは美味しい深海魚だって知ってるからかもしれないけど。
 
ソウダカツオみたいなのは速すぎて捉えられなかったな。
また定置網企画やらないかな。

2025年11月18日火曜日

『シラコダイ・粘膜を摂餌|水中映像(伊豆)』



粘膜を食べるシラコダイの群れ
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▶ 詳細な解説&サンプル映像はページはこちら(分類・生態・豆知識まとめ)
 
シラコダイは、チョウチョウウオ科のチョウチョウウオ属でありながら、〇〇チョウチョウウオと、チョウチョウが付かない。なんか、ちょっと地味な色合いだから白子鯛になったのかなぁと、やや残念気味な方向で考えてしまいがちだけど、ユウゼンとか、チョウハン、ヤリカタギなどは「ダイ」さえも付かないけど地味ではないので、地味だからという訳ではないのかな。
 
正式な名前である学名は、みんなChaetodonが付くので、みんな苗字は一緒。シラコダイはChaetodon nipponで、ニッポンがついて「キータドン ニッポン」という名前だ。なんかちょっとレベルががった感じになるのは気のせいか・・・
 
ちなみにユウゼンはChaetodon daedalma。daedalmaは「刺繍」という意味があるそうだから、和名の友禅は学名に寄せてるのかもしれない。カタカナ読みだとキータドン デーダーマ、みたいな感じ。
ユウゼンのほうがいいか。
 
映像はシラコダイが夢中になって透明な粘膜のような、ゆるめの寒天状物体を食べていたときのもの。キアンコウの卵帯から卵が抜けたみたいな感じだけど、撮影は8月の夏真っ盛り。
 
卵がそんな美味しかったらよろしくないとも思うし、何かはわからないけど、てても美味しそうだった。
いつもはヒラヒラ中層を泳いでいるのに、海底の透明なものによく気付くもんだ。
 


2025年11月15日土曜日

『ショウジンガニ・旅のみそ汁|水中映像(伊豆)』


 
▶ 詳細な解説&サンプル映像はこちら(分類・生態・豆知識まとめ)
濃厚な味わいの海辺のみそ汁。足がはみ出した小ぶりなカニは、大概の場合はショウジンガニだろう。
「あぁ、あれね、美味しいよねぇ~」となるカニのみそ汁だが、不思議なことにショウジンガニはお店で売ってない。
 
手に入らない激レア食材なのに、多くの人が知っているというのが謎なので調べると、「ショウジンガニ・精進蟹」という名の出てくる古い文献は無いみたいだ。
あの?微妙に読める字というところが苦痛な大和草本にも無い(多分ない)。ただし、「磯の蟹を食す」様なくだりはあちこちにあるらしいから、恐らくは食べていたんだろう。
 
近代になって鉄道が通りはじめ、観光というものがされるようになった頃から有名になってきたのではないかと妄想する。
 
海辺の民宿で出されたときの足のはみ出たインパクトは強烈で、濃厚な味わいは驚愕だったのだろう。
旅から戻り、家族やご近所や会社で、「いやぁ、カニのみそ汁が激うまでさぁ、なんて言ったかな、ショウジンガニ…だったかなぁ」 などと言いふらすことで、100年以上前にアナログでバズったのだろうと妄想する。
妄想ばっかりだ。
 
そういえばショウジンガニを最近見かけない気がする。メガロパ幼生はたくさん出現するので、いないことはないと思うんだけど、「岩を覗けばショウジンガニ」というほどではなく、追加の映像も加わらない…
 



2025年11月13日木曜日

『怪我をしたタカベの群れ|水中映像(伊豆)』


怪我をしたタカベが群れる水中映像
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▶ 詳細な解説&サンプル映像はこちら(分類・生態・豆知識まとめ)
https://www.azarasi.jp/details/takabe-kega.html


ずっと “本隊"についていけなくなった負傷組が、岩陰で静かに休んでいるんだろう。と勝手に思い込んでた。
魚には自己治癒能力があるらしいし、「ひっそりと傷を癒している最中なんだろうなぁ」と、ごく普通に見ていたのだけど・・・
 
ところが調べてみると、“もうついていけないので離脱します!海底で療養します!” みたいな 「集団回避行動」は群れ行動には存在しないらしい。
 
……ないんだ、そういうの。
 
じゃあ、あの怪我した集団は一体なんなの?
と調べていくと、どうやらこんな可能性はありえるらしい。
——弱って群れから取り残された単独のタカベが、必死に逃げ込んだ先の岩陰で、同じように傷ついて逃げてきた別のタカベと偶然出会う。そして共に生き抜くことを誓う。——
 
なんか、古い戦争映画で見たことある感じだな。
 
あるいは
——急な雨にあわてて雨宿りしたら、同じように走り込んでくる人がいて。目が合うふたり——
 
やすい恋愛ドラマだ。
 
まぁそんな感じなのかも。ってほんとかな?