港外の透視度は良く言うと20mくらいかな。岩の急斜面から離れて泳ぐと、“潜る”というより“飛んでいる”様な気分になれる。
白い砂地や色とりどりのソフトコーラルを10mくらい下に見ながらのダイビングは、鳥になったみたいで気持ちいい。 空を飛ぶのは憧れなんだけど、本当に飛ぶとなると大変だろうから、こうやって海の中を自由に飛べていればそれでいいかな。
なんて思いながら飛んでいると、砂の上にでっかいアワビが見える。一見して死んで殻だけになったアワビだけど、かなり上から見下ろしているのに、デッカイなと気付くくらい、デカイ。
手にとってみたくて砂地に舞い降りると、まずは手と比べてみた。自分の手よりも大きい。
僕の手のひらは20センチちょっとあるから、23センチはないくらいかな?水中マスク越しに見る世界は3割増しで大きく見えるから、なおさらでっかく見える。
うちにあるサンプル。これで20センチ。
食用にするアワビには種類があって、有名なところではクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ。どれも高級食材として有名。
北海道から東北にはエゾアワビが棲むし。西日本だと、名前からアワビという文字は無くなってしまうけど、同じミミガイ科のマアナゴやイボアナゴもよく食べられているようだ。トコブシもミミガイ科だしね。結構種類があるんですよ。
アワビの呼び方は地方によって違いはあるけど、クロアワビのことを「クロ」とか「オン」、「男貝(オガイ)」と呼んで、メガイアワビのことを「シロ」「メン」、「女貝(メカイ)」と呼んだりすることが多い。
クロとかシロというのは足の裏、岩にくっついている側の色の違いのこと。確かにクロアワビの裏側は深緑でメガイアワビの裏側は白っぽい。でも、クロアワビが雄でメガイアワビが雌ということじゃぁない。クロ、シロ。男貝、女貝の違いを「アワビ」という貝の中の雄雌の違いで、さらにはトコブシが「アワビ」子供だと人も多いみたいだけど、ちゃんとみんな別種。
数あるウツボの種類のなかに、元祖「ウツボ」はいます。初鰹や戻り鰹と言ったってカツオは「カツオ」なんだけど、アワビの種類にザ・「アワビ」というのは居ないんだな…
海の中で珍しい生物を見るのもいいんだけど、日本人なら誰でも知ってる、国を代表する超有名海洋生物ですから、もっとちゃんと見た方がいいと思うんだけどな。
それに顔もかわいいし、目と髭があってね、ポンキッキのムックにそっくりなんだよね。
海に潜らなくても魚屋さんの水槽でも気軽に会えるので、是非じっくり見てみてくださいね。
買うと高いからねぇ…さて、発見したアワビの殻は…?
上から見ると楕円形というよりは丸に近く、きっぱりとエッジのある三角屋根、筋骨隆々という言葉がふさわしい表面の凹凸。そして富士山のように突き出た呼水孔。
20m以上ある深い水深のところだし、マダカアワビだろうな。
これだけデッカイと寿命で死んだのかな?と思いながら手にとって裏側を見てみたら、なんとミガキボラが卵を産卵中。
よくまぁ伏せたアワビの内側の空間なんかを見つけ出して産卵すること。わざわざ砂を潜ってくぐって産卵できる空間を捜したのだろうか?と感心していると、隅に小石が固まってるのに気付く、なんだろう?
はっ!これは、タコだ。
あまりに突然のことにタコも驚いたかもしれないけど、僕もかなり驚いた。両者固まる…
体の網目模様はメジロダコみたい。メジロダコは家になるものを持って歩くっていうけど、このタコは逃げる気配がないしな。でも持ち歩く家にしちゃぁ随分と大きすぎるんじゃないかなぁ、持って歩けそうもない、ミガキボラ付きだし…
それにしても変な眼だ。
普通の眼の白黒のパターンと逆なんだけどな…。あんまりタコの眼の変化なんて気にしてなかったけど、明るかったり暗かったり驚いたりした時に変わったりするのだろうか?
こんどはもっと良く見てみよう。
マダカアワビの殻は、そっともとに戻してその先へ。
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