2025年11月28日金曜日

『ショウサイフグ・交雑のリスク|水中映像(伊豆)』



ショウサイフグ
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このあたりのフグは難しい。
模様はバシッと一定しているわけではなく、微妙に個体差があるところが難解。見れば見るほど、調べれば調べるほどによくわからなくなるスパイラル。
 
しかも、水中映像は触れないので、「皮膚には小棘があり…」とあるところで確認できるはずもない。さらには"骨の幅"とか出てくると完全に終了モードだ。
 
まぁ映像が間違っていたとしても死ぬことはないのだけど、食べるとなると別問題。
フグは種類によって食べられる部位が決まっているので、間違えると最悪の場合サヨウナラになりかねない。
 
ショウサイフグは筋肉と精巣が〇、コモンフグは筋肉が〇で、その他は毒ということだから、ショウサイフグと間違えてコモンフグの精巣を食べるとアウトということになる。
交雑してる雑種の場合は、そのどちらでもない場合があるので全廃棄だそうだ。
 
フグの判別や調理には専門の知識が必要なので、ウェブ上の水中映像など参考にしてはいけない。

2025年11月25日火曜日

『ハタタテダイ・同種のシグナル|水中映像(伊豆)』



ハタタテダイの縞模様
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【ムレない方のハタタテダイの詳細&サンプル映像はこちら】
 
南国の魚!と思わせる白・黒・黄色の縞模様が印象的なハタタテダイ。
黄色の少ない工事現場のような縞々は、ゴンズイなどのように毒のある魚の「警告色」が有名だけど、ハタタテダイには毒は無く、仲間同士を認識するためのシグナルになっているらしい。
 
戦国時代の合戦を思わせる旗は、敵味方の識別に使われたというけれど、ハタタテダイの旗もまさに識別ということだ。
そして、派手で目立つ縞模様は海の世界では目立つわけではなく、輪郭をぼかす効果がある分断色でもあるという。
肉食魚が見た時に一瞬でも「?なんだ?」と思う隙を作れば逃げることができる。
というんだけど、仲間同士のシグナルもぼけるということにならないのかな…?
 
にしても、ムレハタタテダイと似すぎていて区別が難しい。
もしかしてと思って動画を切り抜いて背鰭の棘を数えたけど、数えられない場合はキビシイ。
出会ったら本人同士も間違えるんじゃないかと思うのだけど、ムレハタタテダイに比べるとハタタテダイはそれほど頻繁に見る魚ではないので、伊豆で対面することはない、のかな?
 

2025年11月22日土曜日

『クロシビカマス・スミヤキは黒くなかった|水中映像(伊豆)』


クロシビカマス
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網の下の方に細長い魚が泳いでいるので近寄ってみる。照明を当てると物凄く青い。
「え、これってもしかしてヤッパタ!?マジか、こんな色なのか!」
 
ヤッパタの本名はクロシビカマス。伊東では有名な食用魚で、美味しいけど骨の処理が面倒な魚だ。伊東ではヤッパタだけど、「スミヤキ」と呼ぶ地域もあるくらいの真っ黒な色をした深海魚で・・・ 
でも目の前のヤッパタ顔の魚は見事なほどに青銀に輝いて美しい。
 
よくわからないけど見たことのない魚だからじっくり撮影。と、何気なく水深を見たら27mと、あまりじっくりしていられない水深だった。
 
定置網に潜ってみるという企画で一般のお客様もいらしゃったのだけど、水揚げ後の網の中だったし、その日はいまいちトラップにかかってなかったということもあり、少々期待外れだったようだ。
 
でも、プロのダイバーは、"あのヤッパタ"に出会えて興奮してた。
伊東のプロダイバーは美味しい深海魚だって知ってるからかもしれないけど。
 
ソウダカツオみたいなのは速すぎて捉えられなかったな。
また定置網企画やらないかな。

2025年11月18日火曜日

『シラコダイ・粘膜を摂餌|水中映像(伊豆)』



粘膜を食べるシラコダイの群れ
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シラコダイは、チョウチョウウオ科のチョウチョウウオ属でありながら、〇〇チョウチョウウオと、チョウチョウが付かない。なんか、ちょっと地味な色合いだから白子鯛になったのかなぁと、やや残念気味な方向で考えてしまいがちだけど、ユウゼンとか、チョウハン、ヤリカタギなどは「ダイ」さえも付かないけど地味ではないので、地味だからという訳ではないのかな。
 
正式な名前である学名は、みんなChaetodonが付くので、みんな苗字は一緒。シラコダイはChaetodon nipponで、ニッポンがついて「キータドン ニッポン」という名前だ。なんかちょっとレベルががった感じになるのは気のせいか・・・
 
ちなみにユウゼンはChaetodon daedalma。daedalmaは「刺繍」という意味があるそうだから、和名の友禅は学名に寄せてるのかもしれない。カタカナ読みだとキータドン デーダーマ、みたいな感じ。
ユウゼンのほうがいいか。
 
映像はシラコダイが夢中になって透明な粘膜のような、ゆるめの寒天状物体を食べていたときのもの。キアンコウの卵帯から卵が抜けたみたいな感じだけど、撮影は8月の夏真っ盛り。
 
卵がそんな美味しかったらよろしくないとも思うし、何かはわからないけど、てても美味しそうだった。
いつもはヒラヒラ中層を泳いでいるのに、海底の透明なものによく気付くもんだ。
 


2025年11月15日土曜日

『ショウジンガニ・旅のみそ汁|水中映像(伊豆)』


 
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濃厚な味わいの海辺のみそ汁。足がはみ出した小ぶりなカニは、大概の場合はショウジンガニだろう。
「あぁ、あれね、美味しいよねぇ~」となるカニのみそ汁だが、不思議なことにショウジンガニはお店で売ってない。
 
手に入らない激レア食材なのに、多くの人が知っているというのが謎なので調べると、「ショウジンガニ・精進蟹」という名の出てくる古い文献は無いみたいだ。
あの?微妙に読める字というところが苦痛な大和草本にも無い(多分ない)。ただし、「磯の蟹を食す」様なくだりはあちこちにあるらしいから、恐らくは食べていたんだろう。
 
近代になって鉄道が通りはじめ、観光というものがされるようになった頃から有名になってきたのではないかと妄想する。
 
海辺の民宿で出されたときの足のはみ出たインパクトは強烈で、濃厚な味わいは驚愕だったのだろう。
旅から戻り、家族やご近所や会社で、「いやぁ、カニのみそ汁が激うまでさぁ、なんて言ったかな、ショウジンガニ…だったかなぁ」 などと言いふらすことで、100年以上前にアナログでバズったのだろうと妄想する。
妄想ばっかりだ。
 
そういえばショウジンガニを最近見かけない気がする。メガロパ幼生はたくさん出現するので、いないことはないと思うんだけど、「岩を覗けばショウジンガニ」というほどではなく、追加の映像も加わらない…
 



2025年11月13日木曜日

『怪我をしたタカベの群れ|水中映像(伊豆)』


怪我をしたタカベが群れる水中映像
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https://www.azarasi.jp/details/takabe-kega.html


ずっと “本隊"についていけなくなった負傷組が、岩陰で静かに休んでいるんだろう。と勝手に思い込んでた。
魚には自己治癒能力があるらしいし、「ひっそりと傷を癒している最中なんだろうなぁ」と、ごく普通に見ていたのだけど・・・
 
ところが調べてみると、“もうついていけないので離脱します!海底で療養します!” みたいな 「集団回避行動」は群れ行動には存在しないらしい。
 
……ないんだ、そういうの。
 
じゃあ、あの怪我した集団は一体なんなの?
と調べていくと、どうやらこんな可能性はありえるらしい。
——弱って群れから取り残された単独のタカベが、必死に逃げ込んだ先の岩陰で、同じように傷ついて逃げてきた別のタカベと偶然出会う。そして共に生き抜くことを誓う。——
 
なんか、古い戦争映画で見たことある感じだな。
 
あるいは
——急な雨にあわてて雨宿りしたら、同じように走り込んでくる人がいて。目が合うふたり——
 
やすい恋愛ドラマだ。
 
まぁそんな感じなのかも。ってほんとかな?